補助金事業の報告は詳細に ~ ネパール出張
ネパールでは地域総合開発事業として、農業用のため池やトンネルハウスの建設、教員向けや農家向けの各種研修などを行っています。
これらの活動は、賛助会員様からの会費や寄付金の他、いわゆる補助金の1つである外務省からの日本NGO連携無償資金協力、通称「N連」と呼ばれる資金で賄っています。
N連による資金を受ける際には、申請から審査まで様々な手続きがあるのは勿論のこと、各事業年度終了後に「完了報告」という形で、詳細な報告が求められます。
そこで3月下旬~4月中旬にかけての2週間、出張でネパールを訪れ、前半1週間で事業地を視察した後、後半1週間でこの完了報告書の明細の作成及び検証作業を実施してきました。今回はこの後半1週間で行った完了報告書の明細の作業及び検証作業の様子を一部お伝えします。
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FIDRネパール事務所の外観と事務所からの景色
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詳細な報告とは
今回の目的は、普段は月次でネパール事務所から東京事務所宛に送付されている一般の経理情報だけでは得られない、より詳細な情報を確認することでした。ネパール事務所に保管されている領収証を見ながら、1つ1つの取引について詳細な情報を確認し、必要に応じて記録していきました。
「詳細」というのは、例えばカトマンズから事業地であるソルクンブ郡やオカルドゥンガ郡へ出張する際に使用するレンタカー代について、1日あたりの金額と日数、借用期間が何月何日から何月何日までか、支払先は誰か、といった具合。
また宿泊費であれば、宿泊した日付、1泊あたりの金額、宿泊日数、宿泊施設名(=支払先)、そして宿泊者が誰か。宿泊者まで特定することが必要な理由は、例えば事業地に帯同してもらう外部の専門家の方の分なのか、FIDR職員の分なのかで、費目が異なるためです。
完了報告書で記載した費目が、予算で決められていた費目と異なると、N連資金の対象外になってしまう場合も有り得ます。
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記述の解読
領収証は英語かネパール語。ネパール語の場合は、基本的には現地職員によって英訳し保管されていますが、時にはより詳細な情報を得るために原文のネパール語を読まなければならないことがあります。
幸い今はスマートフォンのカメラをかざせば翻訳してくれるアプリもあるので、日本語への変換はできますが、それでも翻訳された日本語の意味がどうもうまく繋がらないこともあり、その場合は現地職員に尋ねることも必要です。
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数字や日付が違う ~ ビクラム暦
言葉は翻訳が必要でも、金額や日付は数字で書かれているのでわかりそうなもの。
ところがネパール語の数字は、日本の算用数字と表記が異なります。
全く異なるのであればまだしも、他の数字に似て見えるものがあったりするから厄介です。
例えば「1」が「9」に見えたり、「4」が「8」に見えたり、「7」が「6」に見えたりします。
更に日付に関してはビクラム暦という、ネパール独自の暦で書かれている場合があります。
ビクラム暦は、1年の長さは西暦と同じですが、始まりが西暦でいう4月半ば。西暦2025年4月14日が、ビクラム暦2082年元日に当たるというのです。
いくつかの領収証の日付はこのビクラム暦で書かれていたため、西暦に直すと何月何日なのかをまた現地職員に尋ねるなど、なかなかスムーズに作業が進められない状況がありました。
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カトマンズ事務所に掛かっていた、ビクラム暦2081年の最後の月のカレンダー
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事務所での様子
作業は書庫の隣にある会議スペースで1人黙々と進める時間が長かったですが、休憩時間では現地職員が作ってくれたチア(チャイ・お茶)を飲みながら、自分が作るチアが一番美味しいんだとか、お見合い結婚する人も多いんだとか、談笑しながらネパールの人々の生活が垣間見えた気がしました。
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作業をしていた1Fの会議スペース
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2Fの食堂にてみんなでチア
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外務省向けの完了報告
ネパール事務所での作業は、何とか当初目標にしていた分量を処理し終えることができましたが、上記明細の他にも、事業実施に関するさまざまなデータを揃えることが必要です。新たな事業年度も既に始まっているため、事業運営と併行しながらにはなりますが、8月の提出締切に向け、今も鋭意完了報告書の作成が続いています。
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