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変化のストーリー ~マネジメントスキルとリーダーシップスキルの向上をめざして  ~ (前編)

ソピアビー

変化とは、何かを変えようとする行動、あるいはその結果です。

多くの場合、変化に直面するとき、私たちは自分にとって「安全で心地よい領域」から一歩踏み出して、困難に立ち向かい、未知なるものを受け入れることを求められます。前向きな変化を生み出すのは簡単ではなく、大きな変化であればあるほど難しい。中でも、マネジメントやリーダーシップにおける変化は、より一層困難なものでしょう。

カンボジア栄養教育普及プロジェクトでは、モデル校であるコンポンチャム州スライセントー郡の校長先生たちと連携し、活動してきました。活動を続ける中で、ある校長先生が当初と比べると格段に飛躍し、目覚ましい変化を遂げていることに私たちは気が付きました。

モンドップ小学校で校長を務めるスァー・ポーンさんは、現在57歳です。

1984年にコンミア小学校で教え始め、2年後に学校の幹事に昇進しました。1991年にトモダー小学校の教壇に立つ一方で、建築建設関連の仕事に携わるビジネスマンとしても働いていました。2013年にモンドップ小学校の副校長になり、5年を経て校長に就任して現在に至ります。

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スァー・ポーンさん

スァー・ポーンさんは、校長就任当初、学校経営に関するスキルや経験不足のため、数多くの困難に直面しました。特に、学校保健に関連する教育省のガイドラインや方針については、何も知りませんでした。加えてパソコンのような機器を使いこなせないなど、ICT(情報通信技術)のスキルも限られていました。ご自身は「マネジメントの才能に恵まれていない」と感じていましたが、献身的で責任感が強い彼は、校長としての責任を果たすため、ひたむきに努力をしてきました。「先生たちが歩くならば、校長である私は走らなければならない、彼らより常に一歩前に出なければならない」と自らを奮い立たせてきたのです。

校長就任から1年が経過した2018年後半、FIDRがモンドップ小学校を支援することになりました。FIDRは、スァー・ポーンさんが学校運営を行う上で足りないと思ってきた、アイデア、教材、知識、そしてさまざまな技術を補い、励ましてきました。

スァー・ポーンさんは、以前は大半の仕事を「自分には無理だ」と感じていましたが、FIDRは、彼がそう考えていた事柄について、より多くの選択肢を見つけられるようにサポートしました。彼は徐々に、「安全で心地よい領域」から足を踏み出しはじめました。

また、彼は教育省のガイドラインに従うことを心掛け、FIDRからの支援と学校周辺の地域から寄せられた資源を活用しながら、モンドップ小学校を、自身の思い描いた理想の学校に発展させることができました。

しかし変化がおこるまでには、何年もかかりました。

保健分野のモデル校として、学校菜園や栄養教育を実践し、学校内の廃棄物を管理するほか、保健教室や衛生的な水を利用できる設備などを整えなければなりません。

スァー・ポーンさんは、FIDRから紹介されて初めて「学校保健」や「栄養」について知ったので、これらを整えることは、決して容易ではありませんでした。それでもスァー・ポーンさんは、前向きに取り組みました。

先生たちも、これらを実践するのに十分な知識も教材も持ち合わせていませんでした。

そこで、スァー・ポーンさんは、いつも先生たちに研修に参加するよう働きかけてきました。その結果、2年後には、衛生的な水を利用できる設備をつくり、保健教育を開始できました。3年後には保健教室の運営、4年後にはコンポストづくりと学校菜園を実施できるようになったのです。今も、運用が途上の部分もありますが、スァー・ポーンさんは改善に取り組んでいます。

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学校菜園                       

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保健教室

後編につづく

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