FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

スタッフブログ

2013年09月02日 更新担当者:黒坂

町の歩荷たち

町の歩荷たち

FIDRネパール事務所の開設から9か月が経ちました。この間、事務所で仕事ができるようにするためにいろいろな物品を購入しました。中でも一番重かったのは、マンネリ電気不足のネパールでは欠かせないインバーターとバッテリーです。雨季真っ最中の今でこそ、計画停電は1日4時間に減りましたが、乾季には電気があるのを珍しく感じるほど困った状態でした。そこでインバーターとバッテリー4台の購入を決めましたが、なんと総重量は約300キロ!日本であれば、業者さんがエスカレーター、なければ滑車付荷台などで持ち上げてくれるのでしょうが・・・。そんな時、大活躍してくれたのが、運び人の方々、ネパールの歩荷です。

彼らの道具は、「ナムロドリ」と言われる紐1本。これで、荷の底をおんぶするようにひっかけ、反対側を前頭部にひっかけます。前かがみになり、どんなに大きなものでもこれで運び上げてしまうから驚きです。ネパールの道は狭いうえに、車道は渋滞が日常茶飯事。そんな中、カトマンズから隣町まで歩荷たちがグングンと歩いて行く姿を目にします。洗濯機、ベッド、コンピューター、冷蔵庫、ストーブなどなど、カトマンズの生活必需品は細い路地の奥にある家々まで彼らによって運び込まれていきます。

1回の運び賃は、距離にもよりますが、ある店主によると、およそ150ルピー(約150円)が相場だそうです。政府で定められた日雇い労働者の1日の最低賃金が318ルピー(約318円)ですから、日に数回、荷を運ぶことで最低限の生活ができることになります。しかし、物価の高いカトマンズで暮らしは大変ですし、歩荷の収入は商品の売れ行きや天候にも左右されます。歩荷の存在に感謝するとともに、彼らの労働者としての環境が整えられる日が来ることを願います。

2013年08月05日 更新担当者:黒坂

雨季のネパール

雨季のネパール

空が暗くなってきたかと思うと突然降り始めた雨。強風に事務所入り口のアボカドの木もたまらなさそうに大きく揺れている。

ネパールの雨季は6月から9月半ばまで続く。排水管が整備されていないネパールでは、大雨が続くと下水が石畳に溢れ、道は川となる。女性はズボンを捲り上げ、じゃぶじゃぶと帰路を急ぐ。バイクの多いカトマンズでは二人乗り用レインコートを見る機会も多い。前後の2人が一着のレインコートに入るが、後部座席者のほうもポコッと頭が出せるようになっている。なるほど、生活に合わせて工夫している。日本ではまずお目にかからない光景だ。雨が弱くなるまで、店の軒下で雨宿りをする人や、小雨なら傘をささない人も多い。

雨があがると、折りたたんだ傘を後ろ襟に引っかけ持ち運ぶ姿も目にする。店の前では、排水口に詰まったごみを、頼りない小枝で取り出そうと躍起になる店主らを見る。

雨季は農家にとって恵みの雨をもたらしている。しかし、国立緊急対策センター(National Emergency Operation Centre)によると、6月後半の2週間で50人以上が、ネパール各地で発生した洪水やがけ崩れで命を奪われた。今もその数は増え続けている。大切な家や田畑、家畜を流された人々もいる。感染症にかかり下痢で命を落とす子どものニュースも目につくようになる。かけがいのない命が知恵と予防で守られる日が1日も早く訪れることを願う。

2013年07月04日 更新担当者:黒坂

暮らしを色づける香辛料ウコン

暮らしを色づける香辛料ウコン

ネパールには数知れない香辛料があります。その中でも毎日の料理に欠かせないのがウコンとクミンです。そして、塩と油。これさえあれば、後はわき役の香辛料を好みに合わせて入れるだけで、即席ネパール料理が作れます。家庭では野菜炒めに胡椒をかける感覚で全ての料理にウコンが入るので、一見、毎食がカレーのようですが、実はカレーほどこってりした感じにはなりません。だからといって、ウコンがなくてもたいして変わらないのではというと、さにあらず。

ウコンの力は、実は、「カレー味」ではなく、その色にあるのかもしれません。ネパールでは親族が亡くなり、喪に服す際、厳しいしきたりを守らなければいけません。そのひとつに喪中はウコンを料理に入れないというものがあります。毎日、あの濃い黄色の料理を食べてきた人にとって、ウコンなしの料理は、まさに色を失った日々となり、非日常にいることを実感させられるようです。

喪中のしきたりのもうひとつが、油の音を立てないということです。ネパール料理では大さじ3杯ほどの油を熱してから、クミンを入れ、そして、洗い上げた野菜を入れます。そのとき、バチバチっと水のはねる音がしますが、これはかなり大きな音で、圧釜鍋のプシューっという音とともに、ネパールの生活音になっています。喪中にこの油音を立てずに過ごすこともまた、普段とは違う寂しさを感じさせます。

このようにして、ネパールでの香辛料は、味覚だけにとどまらず、人々の暮らしを色づけ、生々流転を意識させるという、とても身近で重要な役割を果たしているようです。

2013年03月01日 更新担当者:大路

ラタナキリへの旅

ラタナキリへの旅

カンボジアにも、少数民族がいるということをご存知ですか?カンボジアの人口の85%以上はクメール人ですが、そのほかにも、ベトナム系や中華系、独自の文化や言語を持つ少数民族などが暮らしています。

先日、プロジェクト調査のため、少数民族が多く暮らすラタナキリ州を訪ねました。途中休憩をはさみつつ、プノンペンから車で9時間ほどの移動です。

州の保健局や病院を訪問したあと、市内から10分ほどの場所にあるYeak Loam Lake(イアク・ローム湖)に立ち寄りました。この湖は、周辺の敷地とあわせて公園になっていて、少数民族のうち最大規模のトンプォーン族が管理しています。

敷地内では、文化展示場でのトンプォーン族の文化紹介があるほか、湖の水や歩道を囲む木々が美しく保たれています。観光地の湖でよく見られる、ペダルボートなどはここにはありません。収益をあげることを考えれば、こうしたアトラクションやお土産物屋を増やすことも選択肢のひとつかもしれません。しかし、あるがままの環境を大切に守りながら、訪れる人々と共有する、この姿勢に、昔からこの湖を守ってきたトンプォーン族の人々の誇りが感じられました。

FIDRのカンボジア人スタッフは、大抵が、プノンペンで育った都会っ子クメール人。出張に同行した彼らも、自分たちと同じ国に住む別の民族の存在に触れる貴重な機会になったようです。

2013年01月01日 更新担当者:狩野

人々の尊敬を集めるということ

人々の尊敬を集めるということ

ベトナムの公用語である「ベトナム語」は、もともとは国の約86パーセントを占める「キン族」の言葉です。FIDRが実施しているプロジェクトの対象地域には、少数民族の方々が多く暮らしており、独自の言葉があります。ですので、誰もが「ベトナム語」の読み書きができるわけではありません。最近は若い世代に、公用語であるベトナム語を学ぶ人が増えていますが、年輩の世代にはそのような機会がなかったため、今でも文字の読み書きができない人が多くいます。

会議のためにある村へ行ったときのことです。村長さんの周りに青年たちが集まっていました。「何をしているのだろう」と様子を覗いてみると、なんと青年たちは会議の出欠をとる村長さんを手伝っていたのでした。この村長さんは文字を読んだり書いたりすることができません。でも、老若男女、みんなに支持されている村長さん。文字が読めなくても、若い世代の人で馬鹿にする人はひとりもいません。

会議の前のほんの少しの時間でしたが、心温まる光景に、「人々の尊敬を集める」とはどういうことかを改めて教えられた思いがしました。

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