FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

新型コロナウイルス感染予防支援

2019年12月に中国からはじまった新型コロナウイルス(COVID-19)の感染流行は、東南アジア・南アジア各国にも急速に広がっています。FIDRの活動国であるカンボジア、ベトナム、ネパールでは、国内でのウイルス検査や治療の体制が十分には整っていないうえ、衛生物資が不足しています。感染予防に有効な公衆衛生の知識や習慣がない人々も少なくありません。
こうした土地で感染の大流行を防ぐため、FIDRは現地の行政と連携し必要とされる対応を行っています。

【第三報】カンボジア・クラチェ州で、コロナウイルス感染防止のための資材を支援しました

支援した噴霧器で、保健スタッフが州保健局内を消毒しているところ(5月21日撮影)

カンボジアにおいても、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、6月1日時点の感染者数は125名と発表されています。これまでに、感染がより深刻なタイ等の近隣国から推定4〜5万人の出稼ぎ労働者が国内各地に帰還しており、コミュニティレベルでの感染拡大が懸念されてきました。カンボジアの地方部では、医療機関といえども感染予防のための資材や消毒液等の備えは十分ではありません。

現時点で123名が治療を終えており、死者も発生していませんが、気の緩みによる第二波を防ぐためにも、FIDRでは引き続き事業地での注意喚起や防止策の啓発活動を続けています。カンボジア事務所では3月下旬から事務所を閉鎖し、活動の一時中断を余儀なくされました。4月には政府により国内での移動制限も発出され、緊張感が高まる中、感染状況を注視しながら活動再開時期を探ってきました。

このような状況下で、小児外科支援プロジェクトを展開するクラチェ州のFIDRスタッフは、クラチェ州の保健行政機関である州保健局とともに、不安に怯える地元の人々を、そして医療従事者を守るための支援を探りました。その結果、遠隔でも届けることが可能な物資として、緊急性・必要性の高い①医療用マスク140箱、②非接触型の赤外線体温計27本、③アルコール消毒用の噴霧器1台の支援が州保健局よりFIDRに対して要請されました。

4月22日、無事にこれら支援物資をクラチェ州保健局に届けることができました。支援物資の購入にあたっては、FIDRの法人賛助会員であるソントン食品工業株式会社からのご寄付を頂きました。

州保健局長によると、他ドナーからの支援はマスクが中心のため、噴霧器の支援はこれが初でした。クラチェ州では噴霧器の常備がなくこの一台のみであるため、局内で管理して必要な場所へ随時貸し出すことになりました。予防のリーダーシップを取るべき州保健局が医療機関内の消毒を徹底するためにも、噴霧器は必須のアイテムです。感染予防のためには各医療機関に一台常備するのが理想ですが、希釈するアルコールも貴重品ですので、節約しながら順番に使わざるを得ないのが実情です。体温計とマスクは、保健センターなど住民が最も身近に接する医療機関へ速やかに配布されました。

カンボジア事務所では5月下旬より、感染予防対策を行った上での活動を再開しています。これまでのように大人数の住民や患者を集めて研修を行えないなど制限はありますが、現場を久々に訪れることができ、馴染みの人々と再び会うことができる喜びには代え難いものがあります。活動停止で一旦は止まった時間を、また少しずつ、且つ慎重に、動かすべく現場のスタッフは今日も忙しく活動しています。

【第二報】カンボジアの農村部でコロナウイルス感染防止のキャンペーンを行いました

カンボジアでは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大への対応のため、3月半ばから、段階的に学校の休校措置や入国制限がとられるようになりました。さらに4月10日以降は、国内で移動制限が課せられています。感染者数は、4月13日現在122人と発表されていますが、国内でのウイルス検査や治療の体制が十分には整っていないことから、感染の拡大が懸念されています。また、不確実な情報も拡散されており、多くの人々が不安をあおられています。

このような状況から、FIDRが農村部で行う「コンポンチュナン州農村開発プロジェクト」も、3月末より活動の一時停止を余儀なくされています。

「活動の一時停止」という苦渋の決断を下した3月下旬、これに伴い同州を離れることになるプロジェクト担当スタッフに残された時間は1日しかありませんでした。スタッフ全員の心の中には「プロジェクト地の人々のために、今、何ができるだろうか」という想いがありました。

3月の時点で、保健省と国際援助機関がCOVID-19の感染防止を目的とするポスターを共同制作していました。また、広く国民が情報を得るために活用しているFacebook、テレビ、ラジオからは情報が発信されていましたが、実際に村の人々に正確な情報が届いているかは確認されていませんでした。さらに、保健センター長への聞き取りで「州保健局から予防対策に関する指示はきていない」ということが分かっていました。

スタッフの意見が一致したのは、人々に正しい知識と“予防”という考え方が足りていない、という危機意識でした。人々は、ただただCOVID-19という未知なものを恐れるばかりで、拡散される不正確な情報に不安をあおられ、正しい情報かどうかを見極めることもできずただおびえている、という状態だったからです。
また、そもそも文字が読めなかったり、テレビを観ることができなかったり、携帯電話を持っていなかったりと、十分な情報が得られていない人々もいました。それらに加え、“予防”という観点をもつ人も少なく、感染を怖がりながらも、積極的に予防のためになにか行動を起こしている人はごく少数でした。

そこで、プロジェクトのカウンターパートである州保健局や保健行政区、保健センター、地区評議会のメンバーらと連絡をとって情報収集を行い、その結果、プロジェクト対象地の全5地区において、COVID-19の正しい情報と予防方法を広く周知することを目的とした”COVID-19予防キャンペーン”を展開することにしました。
当日はトゥクトゥクやトラクター、バイクに乗って地区評議員、村長、警察らとともに村を周りながら、拡声器を通じてCOVID-19について説明し、 “ただただ恐れるのではなく、積極的に予防していこう”というメッセージを、地区評議員らが自らの声で力強くコミュニティに呼びかけました。

トゥクトゥク(カンボジアの三輪タクシー)に拡声器をつけて村を回り、予防の呼びかけ

新型コロナウイルスに関する情報を
読み上げる地区長

自らマイクを持って住民に呼びかける
地区評議員

人目につきやすいところに予防方法に
ついて書かれたポスターを設置

【第一報】ベトナムで新型コロナウイルス感染予防のための緊急支援を実施

中国から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、東南アジア各国にも急速に広がってきました。国連世界保健機構(WHO)の発表によると、3月30日時点の感染者数は約7,300人にのぼりました。
FIDRは事業国のひとつであるベトナムで、3月中旬、感染予防のための緊急支援を実施しました。
ベトナムでは、政府が比較的早い段階から入国制限や学校の休校措置、感染が疑われる人の隔離措置などの策を講じてきたため、確認されている感染者数は179人と、日本などに比べると少ない数にとどまっています。しかし、国内でのウイルス検査や治療の体制が十分には整っていないうえ、出稼ぎなどで諸外国にいた人々が大勢帰国することで、さらなる感染拡大の危険性をはらんでいます。
加えて、予防に欠かせない衛生物資の不足は、他国同様に大きな課題となっています。特に、山岳地域では、公的医療機関の対応が困難になってきており、日々の業務に差し支える深刻な状況となりました。
FIDRは、ベトナム中部地域の行政機関から要請をうけ、3月中旬、プロジェクト地であるベトナム中部のコントゥム省およびクァンナム省の山岳地域6郡に対し、アルコール消毒液5リットルボトル500本、石鹸約15,000個、ビニール手袋50,000組などの衛生物資を提供しました。これらの品は、国内でも調達が困難な状況下ながら、FIDRの法人賛助会員である山崎製パン株式会社の海外拠点「ベトナムヤマザキ」(ホーチミン市)のご協力をいただき、現地の業者から速やかに取り寄せることができました。
政府の指令により、国内の移動が大きく制約され、FIDRスタッフも各地へ赴くことが容易ではなくなっていましたが、プロジェクト活動を通じたつながりから、地元に戻っていたスタッフと保健局が連携し、保健所56か所、郡病院6か所、感染症センター8か所の計70の施設に対し、支援物資を滞りなく届けることができました。

各地へ支援物資を出荷する前に確認作業を行うFIDRスタッフ(ダナン市の事務所前にて)

各地で支援物資を受け取り、引き渡しの準備をするFIDRの地元スタッフ(クァンナム省ナムザン郡)

支援物資の引き渡し書の内容確認とサイン(コントゥム省ゴックホイ郡)

スタッフと保健局の連携で、確実に支援物資を配布(クァンナム省タイヤン郡)