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一年半が経った能登半島地震――珠洲市の“いま”を歩く

 2024年11日に石川県・能登半島を襲った地震から、約1年半が経ちました。同年9月には記録的な豪雨にも見舞われ、珠洲市やその周辺は二重の被害を受けました。現地では復旧の取り組みが続いており、かつての「日常」が少しずつ戻ってきています。

 

 今年4月、珠洲市を訪れました。そこで見えてきた今の姿をお伝えします。

 いたるところで断絶していた道路や橋は、徐々に復旧が進み、車での移動もしやすくなりました。あれほどの損壊から、よくここまで回復したと感じ入ります。それでも、土砂崩れの影響は残り、通行止めの道もまだあります。完全に復旧を遂げるには、先はまだ長いと実感しました。

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海岸の波打ち際近くに開通した応急道路

 市内では倒壊した住宅の解体、撤去も進んでいます。家々があった所は更地となって、風景に寂しさが感じられます。一方で、まだ倒壊したままの建物も残っていて、改めて震災の甚大さも思い起こされます。

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今も崩れたままの建物

 地元の農業や漁業も少しずつ回復しています。店頭には、珠洲の田畑で採れた野菜やお米が少しずつ並びはじめました。しかし、品数はまだ限られ、スーパーも短縮営業が続いています。漁港施設や漁船の修復が徐々に進んでいるように見えましたが、漁師さんの数が減って、このままでは珠洲の漁業は続けられないのではないかという不安も聞かれました。水揚げ量も以前より減ったため、学校給食では限られた漁獲を活かした献立を工夫しているそうです。

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珠洲市の特産品、天然塩

 春の訪れとともに、新学年を迎えた学校では、子どもたちの笑顔と元気な声が戻っていました。避難先から戻ってきた子どももいて、「また先生や友達と一緒に過ごせてうれしい」と笑顔で話してくれました。

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子どもたちの元気な声が響く小学校

 訪問した時期はちょうど桜が満開で、海沿いや町の道には桜並木が続いていました。美しく咲き誇る桜の姿は、厳しい状況のなかでも前を向いて暮らす人々の姿に重なるように見えました。自然の美しさと、人びとのあたたかさはこの地域の力であると改めて感じました。

 珠洲市には塩田や灯台、美しい海岸線、そして誇りのキリコ祭りなど、多くの文化と魅力があります。復興が進み、再び多くの人がこの地域を訪れ、笑顔があふれる日が戻ることを願っています。

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桜と海に囲まれた、能登半島最先端にある禄剛埼灯台

 FIDRはこれからも、珠洲市の復興支援を続けてまいります。

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