FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

ベトナム少数民族地域活性化のための観光開発

文化と自然に調和した観光で村おこし
2019年3月5日

マレーシア研修視察〜地域活性化の優良事例を学びに〜

視察メンバーと訪問先のKadamaian Tourism Association(サバ州)関係者

2月18日から10日間の日程で、「ナムザン郡地域活性化支援プロジェクト」関係者による「マレーシア研修視察」が実施され、クァンナム省やナムザン郡の行政担当者、ナムザン郡内の観光や地域資源開発を担当する少数民族グループの代表者、観光開発専門家の高寺奎一郎氏など13名が参加しました。

今回の視察先であるマレーシアは、マレー系、華人系、インド系のほか、先住民や少数民族で構成される多民族国家で、世界の観光市場においては、今後最も成長が期待される東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でもタイに続く「観光先進国」です。その先進・優良事例について、国連世界観光機関(UNWTO)や自治体、民間団体を訪問し、学びました。訪問先のひとつで、サバ州にある「Kadamaian Tourism Association」は、今年1月、ベトナムのハロン市で開催された「ASEANツーリズム・フォーラム」で「ASEANコミュニティー・ベースト・ツーリズム賞」を受賞した団体で、奇しくも「カトゥー族ツアー」を実施する「ナムザン郡カトゥー族観光組合」も同じ会場で同賞を受賞しています。

観光組合の代表を務めるトゥーン氏は「カトゥー族ツアーをふり返る機会となった。初めて外国人として異文化を体験する立場になり、私たちが目指す『家族に迎えられたような体験』をお客様に提供するには何を改善すべきか、考えさせられた」と研修をふり返りました。
また、団長を務めた、クァンナム省農業農村開発局副局長ムオン氏は「マレーシア政府が目指す持続可能な観光開発は、経済振興だけではなく地域社会や自然環境とのバランスを重視しており、ベトナムが学ばなければならない視点だ」と語り、メンバーそれぞれの立場で多くを学んだ研修視察となりました。

JICAマレーシアを表敬訪問

マレーシア観光芸術文化省を訪問し、同国の取り組みについて話を聞く視察団

国連世界観光機構(UNWTO)を訪問

サバ州のKadamaian Tourism Associationが取り組んでいるCBTについての説明を聞く視察団

CBTに参加する現地の人に話を聞く団長のムオン氏(写真右)

観光プログラムを体験する視察団。同じ体験をすることでメンバー間の共通理解と関係構築にもつながりました

2019年2月25日

ナムザン郡カトゥー族観光組合が「ASEANコミュニティー・ベースド・ツーリズム(CBT)賞」を受賞

ベトナムスポーツ文化観光省グエン・ゴック・ティエン副大臣(左写真中央)から表彰される、ナムザン郡カトゥー族観光組合の代表ブリウ・トゥーン氏(同左)

授与された盾

1月18日、世界遺産ハロン湾を有するベトナム北部のハロン市にて、第38回ASEAN・ツーリズム・フォーラム(ATF: ASEAN Tourism Forum)が開催され、ベトナム中部山岳地域で少数民族の村々を訪ねる「カトゥー族ツアー」を運営する「ナムザン郡カトゥー族観光組合」が「ASEANコミュニティー・ベースド・ツーリズム賞(ASEAN Community Based Tourism Award 2019-2021)」を受賞しました。

本フォーラムは、ASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟する10か国が運営し、毎年世界各国から主要政府機関や関連企業等を招いて開催されているものです。東南アジアを大きな観光目的地とすべく、加盟国の観光資源の開発やその質の向上に努めており、今回も2,000名を超える参加者が集いました。

「カトゥー族ツアー」は、FIDRが2012年からの4年間、ベトナム中部クァンナム省ナムザン郡で実施した「ベトナム少数民族地域活性化のための観光開発プロジェクト」の中で形となったもので、外国人を主とする観光客が日帰りでナムザン郡を訪問、少数民族カトゥー族の文化や生活、食事等を体験する内容です。地域住民が立ち上げた観光組合が運営し、地域の人々の生活向上や地域自然の保護につながる観光ツアーを目指しています。

「ナムザン郡カトゥー族観光組合」が受賞したのは、ATFが審査する観光7部門の一つ「ASEANコミュニティー・ベースド・ツーリズム基準(ASEAN Community Based Tourism Standard)」において、厳しい審査項目で基準を満たした団体に贈られる賞で、今年は加盟国10か国から26団体が受賞しました。

ベトナムでは、250を超える団体がこのCBTに取り組んでいますが、今回の受賞はカトゥー族ツアーを含む3団体のみ。ベトナムのみならず、ASEAN地域にもひろく認識されたことになります。

さらに、同観光組合の代表を務めるブリウ・トゥーン氏が、「ベトナム観光開発に影響を与えた20人」の1人に選ばれるという栄誉に浴しました。

ナムザン郡カトゥー族観光組合代表のブリウ・トゥーン氏が紹介された本

ベトナム観光開発に影響を与えた20人の1人に選ばれました

2018年12月25日

「消費者の気持ちになって」村の特色を活かした特産品づくり

開発された5種類のふりかけ。黒ゴマ、干魚、山椒などが原料です

ラスク、ふりかけ、足湯用のハーブやバナナチップス…

農産物や伝統工芸などを活用した特産品づくりが進められているベトナム中部クァンナム省ナムザン郡の村々では、「地域にある物をどう活かすか」だけでなく、「お客様となる人たちが何を求めているか」という発想での商品開発に挑戦中です。
例えば、黒ゴマ。
日本の黒ゴマと比較すると非常に小さな粒ですが、深い香りがします。ナムザン郡の一部の村で以前から栽培されていたものの、安価で低地の人々に販売する程度でした。
そこで開発したのが、日本ではお馴染みのご飯のお供「ふりかけ」。
最近、都市部では昼食にお弁当を持参する人が増えてきており、忙しい共働き家庭やユニークなお土産を求める観光客にもニーズがあると考えました。
「ふりかけ」は日本人好みかと思いきや、ハノイでのテスト販売では、欧米系の人々も面白がって購入してくれました。

そして、ラスク。
外国人観光客が食べ慣れていて、オシャレなお土産として選んでくれることを狙い、パッケージも工夫しました。
トッピングは、自然豊かな山々で採れる胡麻や山椒、生はちみつなどです。

これまでに開発された特産品は、試作品もあわせると100種類以上。
ナムザン郡を訪れる観光客に販売するほか、ホイアンで定期的に開催されている、少数民族文化を紹介するイベント「エスニック・ナイト」に出店したり、ダナン市のお土産屋さんでも取り扱われたりするようになりました。
FIDRスタッフも、パッケージ作りに関わるなど、住民と二人三脚で開発にあたっています。

2018年6月15日

世界遺産ホイアンでの新しいイベントが好評です

毎月開催される「エスニックナイト」の様子

今年2月から古都ホイアンで、毎月「エスニック・ナイト」という新しいイベントが開催され、ベトナム中部の少数民族が観光客に民族舞踊の披露や特産品の販売を行っています。
このイベントは、昨年、クァンナム省、ホイアン市、市内のリゾートホテル、FIDRとで、3か月間試験的に実施した「カトゥー・ナイト」が発展したもので、カトゥー族を含むベトナム中部の約10の少数民族が交代で参加し、FIDRはこれまでのプロジェクトでの実績と地域からの信頼が評価され、各自治体やそれぞれの少数民族グループ、当日のイベントの総括調整を担当しています。

FIDRはイベントの総括調整を担当しています

4月に登場したのは、クァンナム省フックソン郡の少数民族バノン族(Bhnong)で、ホイアンにおいて大勢の観光客と接するのは初めてでしたが、参加した全員が伝統文化を堂々と披露し、観光客を魅了しました。

「エスニックナイト」に参加するバノン族

※イベントのスケジュールはこちら(英語のみ)

2017年9月27日

『持続可能な地域観光セミナー』でカトゥー族の取り組みを紹介しました

当日は多くの方にお集まりいただきました

世界各国・地域から参加者が集う総合観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン2017」(会場:東京ビッグサイト)のプログラムの一環として、「持続可能な地域観光セミナー〜サステイナブルな地域観光プロモーション成功の秘訣〜」が9月22日に開催され、JICA観光専門家でFIDRのアドバイザーである高寺(たかでら) 奎一郎(けいいちろう)氏が登壇し、ベトナム中部の山岳少数民族カトゥー族が取り組むコミュニティー・ベースド・ツーリズム(CBT)について事例紹介されました。本イベントには、国内外で持続可能な観光開発に取り組む団体関係者や行政、旅行会社など70名が参加しました。

事例発表の中で、高寺氏は、FIDRが2012年から4年間取り組んだ「ベトナム少数民族地域活性化のための観光開発」プロジェクトでは、段階的に顧客ターゲットを変えながらプロモーションに取り組み、カトゥー族はその過程を通じて「観光とは何か」を学んだことに触れ、最終的に「CBT」を理解してくれる日本人観光客、また「本物のCBT=地域住民の手によって地域のために運営されるCBT」を求めるヨーロッパの観光客が重要な顧客となっている、と述べました。

その後のパネルディスカッションでは、観光とは「顧客に満足を与えるシステム」であり、商業化されていないコミュニティの「本物の笑顔と涙」が訪れた人を感動させること、カトゥー族のツアーでは常に「来てくれる人が満足するためにはどうしたらよいか」を考えていることを伝えました。

※2017年は国連が定める「持続可能な観光国際年」であり、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できるよう、地球に住む人々が一緒に持続可能な新しい観光モデルと考えにシフトしていく始まりの年としています。

事例発表される高寺氏

2017年8月9日

観光都市ホイアンで「ザ・カトゥー・ナイト!」が開催されました

最後には観光客と一緒にカトゥーダンスを楽しみました

ベトナム中部にある世界遺産の街ホイアンは、中部最大の都市ダナン市から近く、夏休みシーズンは日本からの観光客も多く訪れる人気の観光スポットです。このホイアンでベトナム中部山岳地域に暮らす少数民族「カトゥー族」の伝統文化を紹介するイベント「ザ・カトゥー・ナイト!」が6月から8月の間、月1回開催されています。

当イベントは官民連携協力活動の一つとして、クァンナム省文化・スポーツ・観光局が音頭を取り、省観光振興センター、世界的に著名な写真家であるMr. Rehahnが開いている「Precious Heritage Art Gallery Museum」、ホイアンの5つ星ホテルの「アナンタラ」、そしてFIDRが協働しています。2回目となった7月の開催では、ナムザン郡の北側に隣接し、ラオスとの国境地域にあるタイヤン(タイザン:ハノイ読み)郡のカトゥー族ダンサーズが登場しました。FIDRはイベントの実務責任を担い、カトゥー族の意見を取り纏めて行政とやり取りをするなど、彼らが舞台に立つまでの全工程を共にし、サポートしました。

FIDRは、2012年から4年間、ナムザン郡タビン社のカトゥー族と共に地域活性化のための観光開発事業を行いました。そのプロジェクト期間中の2013年から、タビン社のカトゥー族ダンサーズが毎年8月に開催される「ホイアン日本祭り」で踊りを披露し、観光客にも大変好評でした。本年は当イベント以外にダナンで開催された「日越交流フェスティバル」にも参加し、徐々に少数民族カトゥー族の認知度も向上してきました!

当日は伝統舞踊のほか、カトゥー織を始めとする伝統工芸品や本プロジェクト内で発掘・製作された商品も販売され、カトゥー族や彼らの居住地域、独自の伝統文化についてホイアンの人々や国内外からの多くの観光客に知ってもらう機会となりました。なお、当日の様子は多くのメディアにも取り上げられました。

2017年8月8日

新商品が続々と開発されています

新商品の品評会の様子

ナムザン郡では本プロジェクトを通して商品価値のある品々が開発されています。その中の一つにタヴァク(Ta Vac)を利用した商品があります。タヴァクはヤシ科の木で、ナムザン郡ではその果実の房から採れる汁を発酵させてダヴァク酒をつくる風習があります。FIDRはダナン市食品技術専門学校と協力し、このタヴァクの樹液を利用した、お酢とドレッシングを開発しました。

6月、プロジェクト管理をしているナムザン郡の事業管理委員会との会合で、これまでに開発された商品の試食および品評会が行われました。特に関心を集めたのはタヴァクの開発です。ナムザン郡の科学技術局の副局長は「これまでにもダヴァク酒の商品開発を試みたが、難しく成功しなかった。これは実に見事な成果だ」と試作品の完成を喜びました。

品質は良いものの、今後は保管期間を延ばす工夫や誰がどのように作成し、衛生管理を担っていくのか等、商品つくりの仕組みを強化していきます。まだまだ課題も多いものの、自治体も住民もやる気に溢れているので、今後が非常に楽しみです!

各地域で定期的に開催されている研修では初期段階からリーダーの育成に力を注ぎ、非常に積極的かつ情熱的なリーダーが育成されつつあります。今後も行われる宝探し・宝磨きのための研修に多くの住民が参加し、住民主体による地域おこしが進められることを願っています。

2017年5月26日

おばあちゃんに続け!

ナムザン郡でもレアな「かすみ(しぼり)」の技術を持つおばあちゃん

「ナムザン郡地域活性化」プロジェクトでは、地域の宝さがしが始まっています。先日、ナムザン郡内の対象地域の社*を代表する人たちが集まり「宝物リスト」を作ったところ、200近いアイテムが出てきました。参加した人たちの様子を見ると、童心にかえったように楽しそうです。

さて、FIDRがずっと懸念していたことがあります。今から数年前に実施した「ベトナム少数民族手工芸支援」プロジェクトのころ。織り手が少なくなった伝統織「カトゥー織」の技術を後世に伝えるべく立ち上がった女性たちをFIDRは支援していましたが、そこである情報を手に入れます。より山深い地域に、遠い昔より綿花を栽培し、天然染色を行い、ナムザン郡でもレアな「かすみ(しぼり)」の技術を持つ女性がいる・・・と。しかもその女性はすでに高齢で、外国人も入れない国境に近い山岳地で暮らしているというのです。

「このおばあちゃんがいなくなったらどうなるの?」FIDRはそんな不安を抱きつつも、まずは伝統を継承させるために先に動き出した若手の女性にカトゥー織の織り方を習得してもらうことを優先させ、少数民族の女性による協同組合もつくりました。

そして数年たった今、地域で実施したこの「宝さがし」を通じて、以前はほぼ興味を失っていた女性たちが「おばあちゃんが宝物だ」と感じてくれ、綿花の伝統栽培および染色技術を直接学びたい、と言ってくれたのです!FIDRは嬉しくて泣きたくなりました。

おばあちゃんもまだご健在。とはいえ時間が限られる中、彼女たちの伝統を受け継ぐチャレンジが始まりました。「伝統を途絶えさせまい!」と、おばあちゃんと同じ村に住む彼女たちは、熱心におばあちゃんの家に通い、現在その技術を自主的に学んでいます。

さぁ、「おばあちゃんに続け!」

*社:「村」の上位行政単位

伝統技術を若者に伝えるおばあちゃん

2017年4月13日

松阪市の皆さんがプロジェクト地を訪問してくださいました

松阪市の皆さん。市を代表する「松阪木綿」を着用されてお越しくださいました

「ナムザン郡地域活性化支援」プロジェクトでは、地域の宝さがしが始まり、次々と住民グループが立ち上がってきています。そんな「宝さがし」に一役買ってくれているのが、ツアーに参加してくださっている観光客の皆さんでもあります。

2月には、「木綿」で知られている三重県松阪市から、市の観光課の方をはじめとし、松阪木綿の織り手さんや販売店の皆様が、ナムザン郡の少数民族により結成された織り手グループのもとを訪れてくださり、カトゥー族、タリーン族によるそれぞれ独自の染色や織物の手法について体験されました。日本からの織物グループのツアーとのことで、当日はナムザン郡全体から、カトゥー族だけではなく、タリーン族さん達も集まり、まるでナムザン郡と松阪市の織物サミット!普段なかなか体験できない「異文化交流」を、お互い楽しんでいらっしゃいました。

国は違えど、さすがは織物の織り手さんたち。言葉は通じず、ジェスチャーを交わしながらでしたが活発なコミュニケーションを行っていました。織物のプロ同士の交流ということもあり、お互いに何かを感じる時間でもあったようです。

松阪市の皆さんがお帰りになられた後、ある女性がやや興奮気味に話し出しました。「ナムザン郡のカトゥー族をはじめ、タリーン族、ヴェー族さんも一緒になり、今後それぞれの独自の染色や織物をさらに向上していこう」。その場で話を聞いていた人たちも共感し、いつかはナムザン郡全体の織物ネットワークを立ち上げようという話にまで発展しました。

やはり少数民族の代表的なものは織物であると感じつつ、女性たちの行動の早さにも驚かされた日となりました。

2017年1月11日

ダナン市においてナムザン郡農産物の販売がスタートしました

ダナン市内にあるオーガニックショップの「カトゥー・ナムザン農産物」コーナー

2016年3月に完了した「ベトナム少数民族地域活性化のための観光開発」プロジェクトでは、「地域の宝もの探し」活動を通して数多くの商品価値のある品々が発掘されてきました。その後続事業である「ナムザン郡地域活性化支援」プロジェクトがナムザン郡を対象としていよいよ始まり、地域の特産品となる可能性のあるものの販売を試験的に始めました。

今回協力してくれたのは、ベトナム事務所があるダナン市にあるオーガニックショップ。経済がよくなるにつれ健康志向のベトナム人も増え、有機栽培など農薬を減らし環境や人に配慮して育てられた農産物は高価でも売れるようになり、市内にも有機野菜販売店が数多くみられるようになりました。

栽培方法なら大自然の中で育ったナムザン郡の農産物は無農薬で一級品!です。「カトゥー・ナムザン農産物」コーナーを設け、別のプロジェクトで普及をしている「SRI農法」で栽培された米10袋、山岳地の丘で自然栽培されている陸稲米10袋、そして自然栽培の豆30袋を店内に置かせてもらったところ・・・なんと即完売!すでに追加注文をいただいています。

幸先の良いスタートで、事業関係者もスタッフも次なる特産品探しに意欲的に取り組んでいます!

SRI農法で栽培された米、陸稲米、5種類の豆を試験販売しました