ベトナムの都市ダナンと少数民族ツアーで訪れた村の比較
私は8月末から約3週間、ベトナム・ダナン事務所でインターンをしました、宇都宮大学国際学部2年の黒澤桜子です。前回は、ベトナム・ダナンでの生活を通して感じた人々の温かさについて報告しましたが、今回はFIDRベトナム事務所が位置するベトナムの都市ダナンと、FIDRがプロジェクトの一環として開発に携わる「ベトナム中部少数民族ツアー」で訪れた村を比べて気づいた、2つの違いをお話しします。
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このツアーは、少数民族の人々が自ら開発・運営し、自分たちの生活文化を守りながら観光による地域の発展を目指す取り組みです。インターン期間中、私は、ムオン族、カヨン族、カトゥー族の3つの村を訪れました。どの村も、FIDR事務所から2〜3時間程かかりました。車窓の景色は、高い建物が立ち並ぶ都市の風景から、緑の多い田舎の風景へと変わって行きました。
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1つ目は、家の違いです。
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都市部にはコンクリートでできた家が多く、大きな一軒家から、狭い土地に建つ細長いアパート、ガラス張りの高層マンション、さらには窓の外のフラワーボックスに花や葉が生い茂る西洋的な家まで、近代的でさまざまな形の家が見られました。
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高層マンションやホテルが立ち並ぶ都市部 都市部でも緑が多い
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植物が生い茂るカラフルで西洋的な家
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一方、農村部に向かうにつれて平屋の一軒家が多くなり、少数民族が暮らす地域では、木製で高床式の家が多い印象でした。床下は日陰になっており、急な雨が降っても濡れないため、夏の作業用スペースや物置として最適な空間になっていました。部屋の中も風通しがよく、外の自然とのつながりが感じられて、とても気持ちがよかったです。
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さらに、ある村の家は、その家のお父さんが木を切り、自分で建てたものだといいます。釘などは使わず、木と木をうまく組み合わせて、耐久性の高い家を作ったと話していました。
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少数民族の人々が暮らす地域の高床式の家
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2つ目は、財に対する価値観の違いです。
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都市部では、お金や建物、宝石といったものに財産的な価値を見いだすのが一般的だと思います。
しかし、少数民族ツアーで訪れたカトゥー族の村では、その価値観が大きく異なっていました。カトゥー族をはじめとする少数民族の方々は、家畜を貯金というように考えていらっしゃる方も多いとのことでした。興味深かったのは、動物ごとに役割や価値が異なる点です。
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水牛はカトゥー族にとって神様のような存在だと聞きました。牛は、すぐに使えるお金ではないものの、将来まとまったお金になるものとして考えられており、会社の財形貯蓄のようだと説明されました。豚は4ヶ月ごとに子どもを産み、そのタイミングで売ることができるため、定期預金に例えられるといいます。また、ニワトリは手持ちの貯金のような存在で、女性が男性の許可を取らなくても、子どもたちのために制服や靴、鞄を買うために売ることができると聞きました。家畜は放し飼いにされており、勝手に草を食べて育ってくれるので、利子がつくような感覚だとも教えてもらいました。
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道路では人よりも動物が優先されることもあり、動物は村の人々の生活を支える重要な財源であり、大切な存在であることを感じました。
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放牧されている牛
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また、薪は、村の人々にとって労働力の象徴であり、それ自体が大きな財産であるといいます。そのため、家の裏に薪が多く積まれているほど、その家は豊かであると教えていただきました。
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家の裏に大量に積まれている薪
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都市で当たり前だと思っていた「財産」の概念が、ここでは全く違う形で存在しています。その違いを知ることで、“豊かさ”について考え直すきっかけになりました。
同じダナン市でも、都市部と農村部では雰囲気が大きく異なっていました。また、その地に生きる人々の価値観も違っています。
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ただし、どちらが優れているというわけではありません。近代化が進み、便利な暮らしの中で生きる人々の活気あふれる都市部も、自然の豊かさや伝統文化が残り、それぞれの時間の中で人々がのびのびと生きる農村部も、どちらにおいても人々が幸せに生きているという点は共通しています。
私も、その土地ごとの良さに目を向けながら、自分に合った幸せな生き方を見つけていきたいです。