支援する
menu

患者さんと地域に笑顔を届ける1日

ブログを書いたスタッフ

#インターン・ボランティア

米倉彩恵

8月末から1カ月間、カンボジア・クラチェ州オフィスでインターンをさせていただいた、東京外国語大学カンボジア語科2年生の米倉彩恵です。前回はカンボジアと日本の生活の違いに驚いたことについて報告しましたが、今回は、私がインターンの期間中に最も力を入れて取り組んだ「Patient Smile Day(患者スマイルデー)についてお話ししたいと思います。

.

 

このイベントは、患者やその家族、病院職員、地域住民の方々とともに、健康や衛生について楽しく学んでもらうこと、そして地域住民の方々の病院受診へのハードルが下がるよう、病院という場所や病院スタッフに親しみを感じてもらうことを目的とした交流イベントで、病院とFIDRが協働して実施しました。イベントを通じて来場者が笑顔になることを願って、名付けました。

.

準備編

イベント当日に向けて 、1カ月ほど前からプログラム構成や装飾づくり、広報活動などを進めました。

まず、このイベントでは、4つのブースを設け、病院スタッフによる複数のレクチャーを行うことを、病院関係者と一緒に決めました。そして、準備を進める中で、病院スタッフと各レクチャーやブースの内容や進行を確認するだけでなく、「Patient Smile Day」を開催する目的や、このイベントそのものの意義などをしっかりと伝えるなど、綿密なコミュニケーションを取りました。

.

私が担当した写真展示ブースの準備では、病院での日常の一コマや医療スタッフの姿をどのように伝えるかを考えて、写真の展示構成やキャプションの内容を工夫しました。FIDRの小児外科支援プロジェクトの活動を紹介する写真の展示もしました。また来場者が自由に写真撮影を楽しめるよう、フォトフレームや小道具を作成しました。これらの展示や装飾を通じて、病院の日常やFIDRの活動をより身近に感じてもらえる空間づくりを目指しました。

.

フォトフレーム作成する筆者(右)
.

また、91日からイベント当日までの間、FIDRカンボジア事務所のFacebookにて、カウントダウン投稿を行ったり、地域の方にチラシを配ったりして、一人でも多くの方に「Patient Smile Day」を知っていただけるよう広報活動を行いました。特に私が力を入れたのは、Facebookでの広報です。Facebookでは、準備の様子や会場の案内動画、ポスターの紹介などの投稿を通して、イベントが楽しそうだと感じられるように工夫を凝らしました。

.

Patient Smile Dayのチラシを配布する様子

.

前日はJICA海外協力隊の方々にも参加していただき、FIDRスタッフ、病院スタッフ全員が一体となって準備をしました。会場は、色とりどりの風船や折り紙で華やかに飾り付けられました。

.

準備を進める中で、文化や価値観の違いから現地スタッフのみなさんとの打ち合わせは思った以上に大変だと気づきました。一方で、地域の人々により楽しんでもらえるイベントにするため、日本とカンボジア双方の考え方を尊重しながら進めることが大切だと感じました。特に、進行方法や表現の仕方は、参加者にとってより親しみやすいイベントになるように心掛け、現地スタッフのみなさんと協議しながら検討を重ねました。

.

前日の会場準備の様子

.

当日編

9月17日、クラチェ州立病院で「Patient Smile Day」を開催しました。

.

病院スタッフからの栄養や術後・退院後のケアに関するレクチャーや、FIDRスタッフと病院スタッフが協働して行う保健衛生教育、子どもも楽しめるアクティビティを実施しました。当日は患者やそのご家族、地域住民の方々など約100人が参加し、会場には多くの笑顔があふれました。

.

栄養に関するレクチャーをする外科看護師長

.

会場内には、手洗いブースや歯磨きの方法を紹介するブース、エナジードリンクに含まれる砂糖の量を当てるクイズブース、写真展示ブースなどが設けられ、来場者は多彩なプログラムに自由に参加ができました。

.

手洗いブースの様子

.

写真展示ブースの運営では、撮影に慣れていない人への説明や、興味を示してもらうためにクメール語で声をかけるのが大変でしたが、手に取って楽しめる撮影用小道具を見せたり、一緒に撮影を楽しんだりして、多くの人に足を運んでもらえるように頑張りました。

.

子どもたちが何度も写真を撮りに来てくれたり、大人の方が展示写真を見てFIDRの活動に関心を寄せてくださったりと、来場者のさまざまな反応が印象的でした。また、もともと知り合いではない人同士が自然に集まり、一緒に写真を撮る場面もあり、イベントを通して人と人がつながる様子を間近で感じると同時に嬉しくなりました。

写真展示ブースの様子

.

また、4つのブースを訪れてスタンプを集める「スタンプラリー」を実施しました。来場していただいたほぼすべての方がすべてのブースを訪れ、その景品としてFIDRスタッフが用意した折り紙の作品をプレゼントしました。

.

スタンプラリーの説明をする筆者

.

午後には、FIDRスタッフによるサックスやギターの演奏、カンボジアと日本それぞれの伝統的な踊りを取り入れたミニコンサートを開催し、参加者が国境を越えた音楽と文化の交流を楽しみました。

.

参加者に向けてギターを演奏する筆者

.

私は、イベントの企画から当日運営までを通じて、異なる文化や考え方の中で一つの目的を共有する難しさと楽しさの両方を感じました。言葉や方法が違っても、「人を笑顔にしたい」という思いがあれば協力し合えることを実感しました。

.

Patient Smile Day に参加してくれたみなさん

.

1カ月という短い期間でしたが、このインターンシップを通して、異なる文化の中で人と協力し、ひとつの目標に向かって取り組む経験ができました。

.

「人が笑顔になるイベントにしたい」という気持ちは、言葉や方法が違っても伝わること、そしてその気持ちが人と人とをつなぐ力になることを、私は現場で実感しました。

.

この貴重な経験を今後の学びや将来の進路にしっかりと活かしていきたいと思います。クラチェの皆さん、そしてFIDRの皆さん、本当にありがとうございました。

その他のスタッフブログ

  • 患者さんと地域に笑顔を届ける1日
    2025.12.05

    患者さんと地域に笑顔を届ける1日

    • カンボジア
    • 国際協力援助事業
    • インターン・ボランティア
  • カンボジア事務所発!「コンポスト・ファミリー」と歩む食品廃棄削減への第一歩
    2025.11.20

    カンボジア事務所発!「コンポスト・ファミリー」と歩む食品廃棄...

    • カンボジア
    • 国際協力援助事業
    • 海外スタッフ