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カンボジア事務所発!「コンポスト・ファミリー」と歩む食品廃棄削減への第一歩

ブログを書いたスタッフ

#海外スタッフ

シニア・プロジェクト・ファシリテーター (FIDRカンボジア事務所)

マ・ソピアビー

これまで私たちは、モデル校4校で、新しい教科書を使って栄養の授業が実施できるように、先生方への研修や学校の衛生環境を改善する活動に取り組んできました。こうした活動を続けるなかで、ごみ問題について「自分たちでも何かできることはないだろうか」と考えるようになりました。

 

カンボジアのごみ問題についてさらに詳しく調べていくと、国連開発計画(UNDP: United Nations Development Programme)が発表したデータを見つけて、私たちスタッフ一同は、本当に驚きました。なんと、カンボジアで出るごみの約50%が食品廃棄物だというのです。多くの食べ物が捨てられている現状を知り、私たちスタッフは胸が痛くなりました。

この問題について、私たちだけで一気に解決することは難しいかもしれません。ですが、ある日、スタッフの1人がこんなアイデアが出してくれました。

 

「事務所でコンポストを始めてみるのはどうかな?」

 

コンポストとは、生ごみや落ち葉などに含まれる有機物を微生物の力を活用して分解し、栄養豊かな堆肥にする仕組みのことです。果物の皮や、残食などの事務所内で出る生ごみを有効活用できるアイデアに、スタッフ一同大賛成でした。

 

とはいえ、コンポストをどうやって始めたらいいのか。実は、スタッフの誰も、コンポストの経験がありませんでした。そこで私たちは「レーン・ダイ」(カンボジア語で「土と遊ぶ」という意味)という社会的企業が開催する家庭向けコンポストの作り方ワークショップに参加しました。コンポストの仕組みをイチから学び、すぐに実践できる方法を教えてもらい、そして、コンポストのキットも購入。準備万端です。

レーン・ダイ社のコンポスト・ワークショップ

まず私たちは、コンポストでどれだけごみを減らせるのかを知るため、事務所で出るごみの重さを測ることから始め、種類(生ごみ・その他の燃えるごみ・プラスチックごみ)ごとに分別することにしました。そして、昼食後に出る生ごみを毎回計量し、コンポストのなかに入れていきました。

左から燃えるごみ・プラスチックごみ・生ごみ(コンポスト)

事務所のごみの重さを計量するスタッフ

昼食後、生ごみを集め、計量するスタッフ

コンポストを始めて1か月ほど経ったころ、コンポストから強いにおいが出てきました。なかを覗いてみたら、箱のなかには幼虫が発生し、キノコまで生えていました。ワークショップでみたレーン・ダイ社のコンポストは無臭だったため、私達は原因を探しました。炭素を多く含む土を加えてみましたが、全く効果がありませんでした。そこで説明書を読み返してみると、においの原因は「肉や骨」を入れていたことだと分かりました。

 

それからは、コンポストに入れるのは野菜の切れ端や皮のみにして、2週間ごとに土とよく混ぜるようにしました。におい対策として入れていた炭素入りの土の代わりに、事務所で出るシュレッダー紙を入れるようにしました。紙は炭素が豊富で、コンポストづくりにぴったりなのです。23か月経つと、コンポストのなかの生ごみは少しずつ茶色く変わり、においも消えました。

コンポスト箱に入れた直後の生ごみ

徐々に生ごみが茶色に
シュレッダー紙を使って臭い消し

そして4か月目、2.2Kgの堆肥が完成しました!

 

ガーデニング好きのスタッフは嬉しそうに言いました。

 

「家の花壇用に使いたいのですが、少し持ち帰ってもいいですか?」

「もちろん!」

 

今は、事務所で育てている植物にも、この堆肥を使っています。
完成した堆肥
事務所の植物にも堆肥を!

スタッフの1人は、今回の取り組みを振り返ってこう話してくれました。

 

「コンポストって難しいと思っていたけれど、意外と身近にできることだと分かりました。最初は、においや虫が嫌で、コンポストを開けるのもためらっていましたが、レーン・ダイ社の方が『箱に住んでいる生き物は"コンポスト・ファミリー"ですよ』と言っていたのを思い出し、だんだんそれからは可愛く思えてきました。

生ごみを入れるついでに、私たちの"ファミリー"の様子や生ごみが堆肥になるまでを見たり、写真や動画に記録したりするのもすごく楽しかったです。時間はかかるけれど、ちゃんと結果が出るのを実感しました」

 

私たちは、今回の事務所でのチャレンジが、カンボジアのごみの問題に小さくても確かな一歩を踏み出すことができた取り組みだと、考えています。私たちが得た知識と気づきを、今後はFIDRの活動地を始め、カンボジアのより多くの人々に知って貰いたいと思っています。

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