みんなの努力と想いが形に——地元の工夫が詰まった「ふりかけ」ができるまで
今年3月に開催した「ふりかけコンペティション」では、地域の人々が工夫を凝らした3種類のふりかけが披露され、州内外の参加者から大きな注目を集めました。今回お届けするのは、その舞台裏です。コンペに参加した3つのグループ(サムロンセン地区/ポー地区/チュロノーク地区)が、地元の食材や知恵をどのように活かしてふりかけを作り上げていったのか。完成までの試行錯誤や取り組みをご紹介します。
コンペで披露されたふりかけ
元々ふりかけ作りは、調理教室から始まりました。燻製した魚をすりつぶして粉末にして、野菜やゴマなど身近な食材を混ぜ合わせると、シンプルだけど、栄養たっぷりのふりかけを作ることができます。「うちでも作ってみよう」と挑戦する方々が増え、最初は家庭で食べる用に、やがて近所にもお裾分けと、徐々にふりかけが3地区のなかで広まっていきました。
ふりかけのベースは川魚。燻製にした後、すり鉢で丹念にすりつぶします。
こうした熱心で活動的な参加者たちは、調理教室でトレーナーとして活躍するようになり、他の参加者に作り方を丁寧に伝える役割を担ってくれました。その後、各地区で、彼らを中心に生産グループを立ち上げて、自分たちで新しいレシピづくりや材料選びを進めていくようになりました。
最初は失敗も多く、あるグループは、10回以上も試行錯誤を繰り返しました。けれども誰ひとりあきらめることなく、互いに励まし合いながら「おいしくて栄養たっぷりのふりかけ」を目指して挑戦を続けたのです。
そうしてついに、地区ごとに独自の食材を使った、個性豊かなレシピが完成。
どのグループも共通して燻製魚をベースにしていますが、それ以外の材料は、それぞれの地区ならではのもの。川でとれるエビを加えたり、ゴマ、人参やかぼちゃ、キャベツ、さらには「スーパーフード」と呼ばれるモリンガなどを組み合わせたりと、バラエティ豊かで彩りあるふりかけができあがりました。
ふりかけの主な材料-様々な食材を組み合わせて作ります
こうして生まれたレシピは、単なる家庭料理の域を超え、地域の誇りとして形づくられていきました。住民同士が支え合い、加工品や農産物を持ち寄り、工夫を凝らして作り上げたふりかけは、それぞれの地区の特色と想いが込められた「作品」となったのです。
そして、その努力の結果を多くの人々に初めて披露する場となったのが、今年3月に開催された「ふりかけコンペティション」でした。
3つの地区が作ったふりかけは、地元コンポンチュナン州のレストランで販売されたり、個人購入の注文がFIDRスタッフや生産者に寄せられたりと、少しずつ販路を拡大し、多くの人々に喜んでもらえる州の名物になりつつあります。
コンペ当日はユニフォームをお揃いにするチームも。準備の努力が熱意に表れます
ふりかけ販売の様子-カンボジアで開催された全国物産イベントにて