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地方病院間にネットワークを築く、第一歩を踏み出しました

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ラタナキリ州病院の前で。同州病院スタッフとクラチェ州病院及びFIDR関係者

小児外科支援プロジェクトは、クラチェ州病院がカンボジア北東部に住む皆さんに適切な治療や手術が提供できる病院、信頼される病院となることを目標に、さまざまな活動を進めています。

その一つが、近隣州の病院とのネットワーク構築です。第一歩として、クラチェ州病院スタッフ4名とFIDRのスタッフがラタナキリ州病院を訪問しました。これまで他の病院への視察活動はありましたが、どれも施設運営などを学ぶことが目的でした。このような病院同士のネットワークを構築する目的での訪問は、初めてです。

ラタナキリ州はカンボジア北東部のベトナムとラオスの国境に近くに位置し、クラチェ州以上に人々が都市部に移動するのが困難です。クラチェ州病院から首都プノンペンまでは5~6時間かかりますが、ラタナキリ州病院からは8~9時間を要します。また、ラタナキリ州病院には医療機器が十分に揃っておらず、医療スタッフの人数も不足しています。そのため軽度な手術しか対応できないため、重症な患者さんについては、プノンペンやシェムリアップという都市部の病院へ搬送することがあります。

今回の訪問で分かったことは、不十分な環境の中でもラタナキリ州病院のスタッフは患者さんのために病院をより良くしていこうという思いをもち、スタッフ一丸となって環境整備や医療技術・知識の向上に取り組んでいることです。改善を進めている只中ですが、病院の環境は非常に清潔で衛生的に保たれていました。

訪問時には、両病院スタッフが意見交換会を行いました。クラチェ州病院の外科看護師長のマニさんは、「ラタナキリ州病院の広い待合スペースや、病棟間の通路に患者さんを風雨から守り安全に移送するための屋根があることが、患者さんたちにとって快適に病院で過ごせるポイントだと思います。」、クラチェ州病院の手術科看護師長のソクンさんは、「現在は複雑な手術を行うには機材と人材が不足していますが、将来的にラタナキリ州病院は環境が整うと思います。」と意見を伝えました。また、クラチェ州病院副院長で外科医のマブ先生からラタナキリ州病院スタッフへ「クラチェ州病院の外科医はFIDRの協力のもと技術が向上しており、手術対応できる外科疾患が増えています。」と伝えたところ、「それなら今まで首都に搬送していた患者も、より近いクラチェで手術が受けられそうですね。」と連携に期待を寄せる様子がうかがえました。

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ラタナキリ州病院の手術室を見学し、質問するクラチェ州病院手術科看護師長(右)

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自身の働く病院について紹介しあうラタナキリ州病院・クラチェ州病院のスタッフ。FIDRスタッフも同席しました

今回の訪問を通じて、クラチェ州病院とラタナキリ州病院が互いの強みや課題を共有することができ、今後の連携に向けた重要な一歩を踏み出すことができました。次は、ラタナキリ州病院のスタッフが、クラチェ州病院を訪れる番です。実際に病院を見学することで、クラチェ州病院に患者を搬送することができるかどうか確認することができます。都市部へ行かなくてはならなかったラタナキリ州の重症患者さんが、より近いクラチェ州病院で適切な治療や手術を受けられれば、患者さんの移動時間や費用の負担が軽減されます。また、病院相互の学び合いが患者さんに対するより良い医療サービス提供につながり、安心して治療が受けられる体制が整うことが期待されます。

定期的な交流を重ね、両病院が共に成長し合えるような協力体制を築いていきます。

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