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日本の訪問看護ステーションで学んだ取り組み

シバジ・バンダリ

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訪問看護ステーションやちほのスタッフの方々(左から3、4番目)と共に

昨年10月、出張で初めて日本を訪れた際に私が最も印象に残っているのは、長野県佐久穂町で訪問看護ステーションを視察し、訪問看護に同行したことです。
視察では、訪問看護ステーションの機能や提供されるサービスについて多くのことを学びました。
また、2件の訪問看護に同行し、看護師がどのような仕事をしているのか見学することができました。

最初に訪れたのは、高齢の男性宅です。看護師が月2回訪問し30~45分ほどかけて身体の状態を確認し、記録して医師やステーションに報告する等しています。このほかに医師による定期的な訪問と、不調を感じた時はいつでも医師を呼ぶことができる体制があるとのことでした。昨年の春に退院したときは自力で歩けない状況でしたが、10月には歩けるまでに回復されたそうです。

次に訪れたのは、一人暮らしの高齢の女性宅でした。女性は家事や生活に必要なことは自分で行えていますが、時に強い不安を感じることがあるそうです。看護師が週2回訪問し、健康状態の確認と記録とともに、心のケアとリハビリを行っていました。例えば、血圧や脈拍測定、服薬、食事内容の確認、日々の生活や農作業、よりよい生活環境について話し合うなどです。

私は看護師の方々の仕事ぶり、特に患者さんへの気遣いやためらいなく接する姿に感動しました。そして、ネパールの看護師や医師もこのような姿勢を理解する必要があると感じました。なぜなら彼らは、時に患者に触れることをためらったり、患者に対して高圧的な態度をとることもあるからです。そういった態度は日本では一切見られませんでした。

一番驚いたことは、患者の病歴記録システムが非常に優れていることと、医師や看護師などの医療スタッフがその記録を共有しながら一緒に働いていることです。これはネパールとは大きく異なります。ネパールの地方の保健ポストには、患者カルテのような病歴記録システムはありません。
病歴の記録がなければ、患者自身が以前どんな病気にかかったか、あるいはどんな薬を飲んだかなど覚えていなかった場合、正しい治療が行われなくなる可能性があります。
この訪問看護ステーションのように、患者の病歴を詳細に記録しておくことで、医師は治療がしやすくなり、患者はすぐに正しい治療を受けることができます。
また、医療従事者と行政の関係者が一緒に働くことで、透明性と信頼性も上がり、お互いに良い関係を築けると思いました。
ネパールに戻ったら、今回の経験を地域行政らと共有し、保健ポストを通じてプロジェクト地域の保健・衛生状況の改善を目指したいです。
たとえば、地域住民の病歴や治療歴を記録するシステムを率先して構築する。また、週ごとのお薬カレンダーをすべての慢性患者が利用できるようにする。たったこれだけのことでも、地域住民の健康状態の改善・維持に貢献することができると思います。

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