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職員の意識が変わり、患者の入院環境も変わりつつあります

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クラチェ州病院は、地域の基幹病院として、住民約40万人の健康を守る責務があります。FIDRがクラチェ州病院で小児外科支援プロジェクトを開始してから4年間が経ちました。病院の院内環境が変わるとともに、職員の意識にも変化が見られています。

プロジェクトの開始当時は、院内の敷地ではゴミが散乱し、トイレは詰まったままで悪臭が漂っていました。そのような状態にあっても、それが「当たり前」のため、職員も利用者疑問を持たずに、変化のない日々が淡々と繰り返されていました。

しかし、病院職員の中には、過去にFIDRの支援により国立小児病院で研修を受けた医師や看護師が今も活躍しており、院長を始め数名の職員は現状を変えたいという意思を持っていました。彼らと一緒にトイレや水場、ゴミ集積場の改修を進める中で、FIDRの美化意識は病院全体にも広がり、外科以外の診療科のトイレも自主的に改修され、昔はゴミが散乱していた場所は花壇に生まれ変わりました。「こういう癒しの場所をずっと作りたかった」という看護師長の思いが変化の推進力となったのです。

今では、看護師から患者に対して、「このトイレは、日本の方々の志でキレイに建て替えられました。次は私たちが感謝してキレイに使う番です」と、病室や病院内を清潔に保つ大切さを呼びかけてくれるようになりました。

院内環境の改善に関する意識だけではなくて、患者に向き合う意識も変わってきました。病院で手術を受けた患者が退院後も順調に回復しているか、経過観察が重要ですが、退院後に再来院する患者は少ないことに対して懸念を感じ、「退院した患者の家庭訪問をしたい」と看護師たちから声が挙がるようになりました。

FIDRの小児外科支援プロジェクトに専門家として関わり続けている小児外科医の石井智浩医師は「これまでクラチェ州病院を定期的に訪れ、彼ら(病院職員)と一緒に小児外科診療の向上に何が必要かをともに考えてきました。最近では、自分たちがクラチェ州最高峰の医療機関の職員として小児外科診療の担い手になろうとの意識の変化も感じています」と述べ、働く人たちの自主性や積極性、さらにはやりがいを引き出すような支援の継続の重要性を指摘しています。

FIDRという外部からの支援は、変化を生み出すきっかけにすぎません。効果が持続的に発揮されるかは、病院職員の意識にかかっています。地方に暮らす子どもたちが安心して地元で治療を受けられるように、その主役である病院職員と一緒に、一歩一歩、前に進み続けます。

(写真:看護師による患者教育の様子)

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