職業訓練プロジェクトのおかげで、私の生活が変わった
FIDRは2022年から、ベトナム・ダナン市で、社会的に弱い立場にある女性や若者の生活向上を目指し、現地の福祉団体「ダナン市慈善・チャイルドライツ保護協会」と協力して、職業訓練による自立支援を行ってきました。
このプロジェクトは、当初3年計画で開始しましたが、著しい成果が表れたため、現地関係機関の強い要請のもと、2年間延長することになりました。この度、これまでの活動成果を振り返り、次のフェーズの方向性を共有するキックオフワークショップが開催されました。当日は、行政機関や関係団体、研修参加者、現地メディア、FIDR職員など約100名が参加しました。
まず、ダナン市慈善・チャイルドライツ保護協会のタム会長が、「これまでの活動が多くの人の生活を支えてきた」と成果を振り返りながら、新しいフェーズへの期待を語りました。その後、FIDRからも、今後の活動計画や研修の進め方、関係機関との連携などについて共有しました。
また、ワークショップでは、研修修了生が自身の経験を紹介しました。中でも、縫製研修に参加したグエンさんの話は、会場にいた参加者に大きな感動をもたらしました。
会場で自身の経験を紹介したグエンさん
グエンさんは、2人の息子と両親を支えるシングルマザーです。毎朝パンを売って家計を支えてきましたが、それだけでは生活が苦しく、将来に不安を感じていました。
そんな中、グエンさんは2023年に縫製技術の研修に参加しました。最初は不安もありましたが、仲間と励まし合いながら少しずつ技術を身につけました。研修後は、FIDRが支援している中部山岳地域の少数民族が作った伝統織物製品の縫製作業を受注しました。この経験を通じて、技術と収入とを向上させることができたといいます。
縫製研修参加当時のグエンさん
折しも、FIDRの法人賛助会員から「織物パスケース1,000個」という大口注文が入り、グエンさんもその製作に携わりました。一つひとつの製品を丁寧に仕上げ、無事納品することができました。この仕事から得た収入で、大学に進学する息子のためにバイクを買ってあげることができました。
グエンさんたちが仕上げたパスケース。FIDRの法人賛助会員企業の社員の方々に届きました。
現在は、多様な製品の仕上げができるようになりました
「この研修で、技術だけじゃなく、自分に対する自信も持てるようになりました」と笑顔で語るグエンさん。以前は家族のことで手いっぱいだった彼女が、「これからは自分の世界を広げていきたい」と前向きな気持ちを共有してくれました。今もパン販売を続けながら、FIDRからの縫製の仕事を受けて日々忙しく過ごしています。「次は、自分が研修のアシスタントとして他の女性たちを支えていきたい」と、力強く語ってくれました。
職業訓練によって、生活の安定だけでなく、自分自身の可能性に気づいたグエンさんの姿は、他の研修生にも大きな励みとなりました。
当年度からの第二フェーズも、FIDRは、より多くの女性が自分らしく輝けるよう支援を続けてまいります。