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手術が必要なのに、病院に来ない子ども達

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クラチェ州のプロジェクトサイトには、様々なゲストがやってきます。 8月はインターンの学生さんに続き、日本から医療者の先生が調査研究で訪問されました。これは、そのとある日の光景です。

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こんにちは。私は麻酔科医の染川友理江と申します。8月27日より2週間、クラチェ州病院に滞在させて頂きました。今回の滞在で、印象的だった男の子の話をしたいと思います。

その男の子は顔と左手全体と胸のあたりに、まだほんの幼い頃、重度の火傷を負いました。カンボジアの田舎では、料理などに直接火を使う機会が多く、火傷を負う子供がたくさんいます。その男の子は、他団体による無料検診の際に発見され、クラチェ州病院にやってきました。日本だったら、重度の火傷を負った子供は、すぐに大きな病院で治療を受ける事ができます。火傷によって皮膚が大きく欠損した部分があれば、皮膚移植などの外科治療を行うこともできます。しかしその男の子は、そういった治療を受けていませんでした。その結果、左手の指と腕の皮膚はくっついたまま、骨が成長したせいで、手は変形していました。左手がほとんど使えない状態です。このような状態となってしまった今、複数回にわたる難しい手術を受ける必要があります。その男の子は自分の家と病院を往復するお金が無い為、お姉さんとともに、しばらくクラチェ州病院の外科病棟に入院する事となりました。隣にいる若いお姉さんも、不安そうな表情です。

しかし、良い知らせを受ける事となります。FIDRの仲介により、プノンペンにある国立小児病院という専門病院で、手術を受けられる事となったのです。FIDRスタッフがその事を説明すると、お姉さんの顔が晴れやかになりました。その子は手術を受けて、これから左手の機能を一部取り戻すでしょう。彼と同じように手の火傷の瘢痕(「はんこん」。できものや傷などが治った後に皮膚面に残るあと)を手術治療によって克服し、偉業を成し遂げた野口英世のように、彼に明るい未来が待っている事を願います。FIDRの現地に密着した活動が、身を結んだ瞬間であると思いました。このような瞬間を積み重ね、クラチェの医療をFIDRのスタッフの方々は着実に改善していくと思います。

私の今回の訪問の目的は、火傷を負った男の子のように手術を受ける必要があるのに病院に来ない子供達を減らす為に、なぜこのような子供達は病院に来ないのかについて調査を行う事でした。その為に、クラチェ州病院から数時間かけて、保健センターと呼ばれるクラチェ州の地方の医療拠点に行かせて頂きました。今回の調査の結果を踏まえ、今後は実際に小児外科患者が病院に来る事ができるようにする為に、対策を講じる事が出来たら、と考えております。また、麻酔科医という専門性を生かして、クラチェ州病院の麻酔の安全改善と手術室の安全向上にボランティアとして貢献できれば、と考えております。

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