FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2019年05月13日

戻らない切れ端

戻らない切れ端

重症や緊急など、村の保健センター(診療所)レベルで治療ができないときは街中の病院へと患者さんを搬送して、より専門的な治療を受けてもらいます。

救急車がある保健センターは稀です。
病院の救急車が迎えに来てくれるのが一番ですが、そうでなければ、患者さんが自力で病院へ出向きます。
自家用バイクが主ですが、今日訪れた地域はメコン川の対岸なので、みなさん、渡し舟で川を越えて病院までやってきます。
片道だけでも、決して安くありません。

このとき、保健センターから病院への申し送りを紙にして患者さんに託します。
写真(※1)のような小さな紙片に、症状、行った処置、その時間、搬送先、などを記入します。
ちなみに、この写真の例は処置の内容や担当者のサインがなく、本来はもっと書かねばです・・・。

右端が切れていますね。
実は、同じような紙片があと2枚ついていて、それらを切り離した後なのです。

ひとつは上記の申し送り用紙。
そしてもうひとつは、送り先の病院から、送り出した保健センターへの結果報告用紙。
これら3枚綴りでオフィシャルな搬送書類となっています。(※2)

申し送り用紙は、送り先の病院でファイルされているはずなので戻りませんが、結果報告用紙は返ってきて然るべきところ。
しかし、この保健センターだけでなく、殆どの場合で戻ってきたためしがありません。

送り出した側は、その患者さんがその後どうなったのか、きちんと治療できたのか、噂が耳に届かない限り知る由がなく、治療後のフォローアップができない、ということです。

手術をした場合は退院したら全て終わり、ということはほぼありません。
傷口が感染を起こしていないか、患部の痛みはないか、など退院後の確認が必要です。
保健センターは、本来、地元の患者さんと病院とを繋ぐ役割を担うはずですが、
「その後どうなっているか、わからない」
と皆が口を揃えて言うしかないのが現状です。

きちんとした制度、ルールは既にあります。
でも、それが実践されなければ、理解されてなければ、それも機能しません。
既にあるものを上手く活用して、価値を生み出すことを考える。

病院の中でも、外でも、変わるヒントはいつも身近なところにあるのです。


※1 ここでは個人情報を伏せるため加工しています。
※2 最近、この様式が一新されました。今でも記入漏れが普通なのに、更にもっと多くの記入欄があるのです・・・。

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