イカリ消毒株式会社様から学んだ、健康と環境を守る衛生管理
11月、カンボジアのクラチェ州病院の医師3名を日本に招いて行った視察研修。
11月10日には、FIDRの法人賛助会員であるイカリ消毒株式会社様の総合研究開発拠点「Life Creation Square(以下、LCスクエア)」を視察しました。医師たちは、クラチェ州病院の衛生環境の改善に向けて、衛生管理や感染症対策などについて学びました。

イカリ消毒(株)担当者様より、LCスクエアの説明を受ける視察団
同社は2024年より、その専門性を活かして、クラチェ州病院を中心とした衛生環境改善にご協力くださっています。その第一歩として、2024年8月に社員2名がクラチェ州病院や周辺地域を視察し、害虫トラップ設置や菌検査を行うなどして、院内にどのくらい虫や微生物がいるかを可視化してくださいました。
クラチェ州病院では、換気や暑さ対応のため窓や扉が開放したままであることが多く、院内に虫が入ってきてしまいます。また、入院患者の付添い家族が病室で寝泊まりや食事をすることが一般的で、その上、手洗いなど人々の衛生習慣が十分ではないため、ウイルスや細菌が院内に広がる一因となっています。この状況は、カンボジアの地方病院として珍しいものではありません。
そこで、今回のLCスクエア視察時には、「カンボジアの現状に即して」、また、「他の医療スタッフや患者・家族に向けて、衛生環境の改善を呼びかけるリーダー向けに」、特別に配慮した視察プログラムを組んでくださいました。また、同社の社員の方々が、医療現場で応用できる衛生改善の実践例を、各所で示してくださいました。
医師たちはまず、工場や病院などで問題となるゴキブリ、ハエ、ネズミなどの実験用施設を見学しました。ゴキブリだけでも多様な種類があり、州病院の医師たちは、「カンボジアにいるゴキブリはこれかな?」と予想したり、「どのような実験をしているのですか?」と質問をしたり、ユニークな研究施設に高い関心を持っていました。
次に、粘着トラップにより捕らえた害虫を分析する施設を見学しました。粘着トラップは、同社社員の方による調査の際に、クラチェ州病院にも設置した経験がありました。何か所にも分けて設置するのは、場所によって異なるリスクを発見し、適切な対応を考案するためであったと学びました。トラップの説明を聞き分析の様子を見学したことで、院内の虫や細菌の発生状況を可視化し、根拠に基づいた対策を講じることの重要性を改めて認識しました。

粘着トラップによって採集された小さな虫を観察する州病院の医師たち
また、食品に混入した異物を検査する施設では、珍しい混入物や、危険性の高い混入物を共有することで、個人の経験をチーム全体の知見として活かしていました。州病院の医師たちは、先立っておこなった病院研修でも目にした日本の「チームで働く」取り組みを、ここでも学ぶこととなりました。
施設見学後には、同社顧問の鈴木達夫博士(医学)より、医療衛生管理に関する講義を受けました。そして、クラチェ州病院の衛生環境をどのように改善していくか、州病院の医師と同社社員の方々との間で活発な議論が行われました。
鈴木博士からカンボジア人医師たちへのメッセージは、「医療従事者の手は、人を救うものでもあるが、病原菌の経路となれば患者の命を奪いうる」。
カンボジア人医師たちは、この戒めを真摯に受けとめると共に、院内感染を防ぐために病院のリーダーとして取り組みを進めていくことを決意し、LCスクエアでの研修を終えました。
FIDRは今後もイカリ消毒株式会社様と手を携え、同社の最新技術や衛生課題解決のノウハウを活かしつつ、クラチェ州病院の衛生環境改善に向けた取り組みを支援してまいります。

イカリ消毒(株)の皆さんと視察団(中央が、鈴木達夫博士)