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三方よし!「収量」「技術」そして「やる気」も伸びる

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FIDRは稲作の収量増を目的に、ベトナム中部山岳地域2省7郡において「SRI農法※」の普及に取り組んでいます。収量の増加はさることながら、農法の技術普及に欠かせない存在となってきた農民リーダーたちの知識や技術の向上、そして村の人達のやる気も引き出されてきています。

ある地域で収量調査ワークショップを実施したときのこと。不稔籾(米が稔らず空の状態の籾)を見つけた農家が言いました。「新しい農法(SRI農法)に切り替えたからだ・・・」。そこにいた農民リーダーは民族の言葉で丁寧に説明します。「これはね、新しい農法のせいではなく、今年の天候不順や害虫・病気が原因なんですよ」。
農民リーダーもSRI農法を学んでいたときは不安を感じることが多々ありました。しかし、経験は自信となり、稲作に関する知識も向上し、相手にわかりやすく伝えるコミュニケーション能力も身に付きました。
心配していた農家も農民リーダーの説明に納得し、次への挑戦へ意欲を新たにしました。

この地域の少数民族の風習として、畑仕事は女性が担うことが多く、男性は狩りや家の建築などの力仕事をすることが多いのが特徴です。そのため、最初SRI農法を学びにくる人はほとんどが女性でした。しかし新農法が普及し始めてからは、家事や育児で忙しい女性に代わり、男性が学びに来ることも増えてきました。SRI農法の普及は、男性の農作業への参画も促しているようです。

SRI農法は、収量や技術だけではなく、地域の人たちのやる気も伸ばす「三方よし」!ですね。

※SRI(System of Rice Intensification)農法とは:稲の品種改良や化学肥料や農薬に頼らずに、高い収穫を実現できる稲の栽培方法。発芽してから1?2週間の乳苗を広い間隔で1本ずつ植え、水田を時々乾燥させることで、苗どうしが競争することなく丈夫に稲が育つようになる。水や肥料などの投入を減らして、より多くの収量を上げることが可能となる。