FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2021年12月24日

新病棟の完成記念式典を行いました

新病棟の完成記念式典を行いました

昨年12月から建設を進めてきたクラチェ州病院の新しい外科・産科病棟がついに完成し、12月6日に完成記念式典が行われました。

当日は、カンボジアの保健大臣、在カンボジア日本大使館特命全権大使、クラチェ州知事、州政府関係者、医療従事者、建設会社関係者など200名以上が列席しました。保健大臣、特命全権大使、クラチェ州知事からご祝辞を頂き、一同でテープカットを行った後、ご来賓の方々に新病棟の中をご案内しました。新病棟は11月末から稼働しており、患者やその家族からは、快適な病室で過ごせることへの喜びも聞かれました。

この病棟建設は、外務省から交付された日本NGO連携無償資金協力、及び、多くの支援者の皆さまからのご寄付、ご協力により実現しました。
大使は、新型コロナウイルスの影響による難しい状況においても、医療の質を向上させるべく真摯に取り組んできた保健省、州保健局、州病院などの関係者に敬意を表し、「この新しく建設された外科・産科病棟が日本・カンボジアの友好関係のシンボルとして永く使用されることを祈念します」と述べられました。
保健大臣は、日本政府、日本国民からのカンボジア医療分野への継続的な支援に感謝の意を表し、クラチェ州病院における医療従事者の育成、医療器具の配備や新病棟の建設を行ったFIDRを高く評価しました。

FIDRのこれまでの活動により、クラチェ州病院では医療従事者の技術が年々向上しています。加えて新病棟が完成したことにより、同病院がより迅速かつ的確な医療サービスを提供できるカンボジア北東部の拠点病院として機能していくことが期待されます。FIDRも病院職員も、「病棟の完成は、ゴールではない」と認識しています。病院職員が新病棟を有効に活用していけるよう、FIDRは引き続き支援していきます。

式典の様子は現地メディアにも注目され、テレビや新聞等で取り上げられました。 (https://www.khmertimeskh.com/?p=984159)(英字新聞)

2021年11月22日

新病棟の引き渡しに向けて準備を進めています

新病棟の引き渡しに向けて準備を進めています

カンボジア小児外科支援プロジェクトでは、活動拠点であるクラチェ州病院に外科・産科病棟を建設しています。昨年12 月に着工して以来、工事は順調に進み、10月にほぼ完成しました。

10月末にはクラチェ州病院関係者、施工会社、州保健局と、日本から専門家がオンラインで参加し、施工状態に不具合がないかを確認する竣工検査を行いました。また州保健局や州病院が主体的に運用およびメンテナンスを行っていけるように、施工会社による分電盤や貯水タンクの使い方についての共有がされました。現在は正面入り口にかける病棟文字盤や病室のネームプレートの作成を進めている他、患者ベッド、点滴スタンド、薬品棚などの備品をそろえ、安心・安全に病棟が運用できるよう準備を進めています。家具や備品も管理の面を考慮し、大半はクラチェ州やプノンペンから調達しました。

新病棟の運用方法や、職員と患者のための院内ルールについても、外科スタッフと議論を交わし、彼らが設備や家具の管理、病棟全体の衛生管理を自主的に行っていくことが合意されました。

12 月上旬を目途に、FIDR から病院側への新病棟の譲渡式典を行う予定です。

2021年07月28日

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.2

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.2

クラチェ州病院外科のダラ医師とティアラ看護師は、今回のコロナ患者治療の経験を経て、普段の業務の改善点が見つかったようでした。

コロナ患者の容体の変化は激しいため、24時間体制で治療にあたる必要がありました。医師は朝、昼、晩の決まった時間の回診に加え、症状の変化に応じて患者の元を訪れ、重症患者には1日に10回程訪れることも少なくありませんでした。ダラ医師からは「今までは、患者に呼ばれてから診察していましたが、今後は頻繁に患者の様子を見に行くようにします」と話してくれました。

また、コロナ治療では、看護の仕方も異なります。カンボジアでは一般的に、医師や看護師は治療や薬の投与に専念し、日本と違って入院中の食事や身の回りのことは看護師ではなく患者の家族や保護者が行います。しかし、コロナ治療病棟では保護者の立ち入りが禁止されていたため、保護者ではなく看護師が患者の身の回りのケアも行いました。
ティアラ看護師は今回の経験を活かし、「これまで定期的に行ってきた患者教育では、コロナの予防対策としては、正しい手洗いやマスク着用、ソーシャルディスタンスが主なテーマでした。しかし、コロナ患者の治療にあたっていた際に、糖尿病の持病があり、コロナウイルスに感染して重症化した患者さんがいました。今後の患者教育では、糖尿病を予防する方法や食事についても伝えていきたいです」と語りました。

コロナ患者治療の経験をもとに、病院全体の感染予防対策や衛生状況など院内環境や、医療サービスが改善され、小児を含む外科患者の治療やケアの改善にも活かされていくことが期待されます。 ]

(写真:外科で行われた患者教育の様子)

2021年07月26日

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.1

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.1

FIDRが活動しているカンボジアのクラチェ州では、今年4月に初めて陽性者が確認され、州の主要病院であるクラチェ州病院でも、医師や看護師が持ち回りでコロナ患者の治療にあたっています。FIDRのカウンターパートである外科の職員からも、5月下旬から6月上旬にかけて、ダラ医師とティアラ看護師の計2名がコロナ患者の治療チームに参加しました。今回彼らにオンラインで取材したところ、現在のクラチェ州病院のコロナ患者治療の状況と、コロナ対応の経験から得た、今後の外科診療につながる気付きについて語ってくれました。これから2回にわたり、お届けします。

コロナ治療チームに参加することになり、あなたやご家族はどのように思いましたか?
ティアラ看護師:最初は少し緊張しましたが、大事な仕事なので、頑張ろうと決心しました。私の家族が、私が感染するのを心配していました。
ダラ医師:私の家族も心配していましたが、私の仕事のことをよく理解して、応援してくれました。

コロナ治療チームでは、具体的にどんな業務を担当しましたか?
ティアラ看護師:1日24時間ずっとスタンバイしていました。 新患でコロナの疑いがあるときは、患者の症状をチェックし、PCR検査用に検体をプノンペンへ送るか判断するため簡易迅速検査を行いました。
また、毎朝8時から入院患者のバイタルサイン(呼吸・体温・血圧・脈拍など)をはかり、薬を投与し、医師からの指示を確認して対応しました。患者の容態に問題がないか常に見守り、異常があったら、すぐ医師に連絡していました。
ダラ医師:別の医師とともに、14日間で16人の患者の治療を担当しました。

他の病気の患者の治療と比べて難しいことや大変だったことがありますか?
ティアラ看護師:持病で糖尿病があり、重症化した患者さんが1人いました。 呼吸困難があり、酸素飽和度は低く80%しかありませんでした。体温は高く、37.5℃から38.6℃の間でした。私は何度も患者の様子を確認しに行きました。6日目に呼吸の状態が厳しくなり、医師から肺のレントゲンをとるよう指示がでました。肺に問題があることがわかり治療を続けた結果、患者さんの状態は良くなり、無事に退院できました。
ダラ医師: コロナ患者の症状は変化が激しいため、24時間体制で治療にあたる必要がありました。症状の変化に応じてすぐ対応できるように、1日に何度も回診しました。軽症患者の回診は1日に2回、中等症の患者は4,5回、重症の患者は10回以上も診察することがありました。 また、防護服を常に着ているので、患者に直接触れて、肺や心臓の音を聞いたりすることはできませんでした。できることは、病歴と症状について尋ねることだけです。

コロナの予防対策としては、病院ではどのようなことを実施していますか?
ティアラ看護師:患者と接するときには、保健省のガイドラインに従い、防護具を装着します。また着脱の際には、必ず手と体をアルコールスプレーで除菌します。患者の症状の程度によって、軽症・中等症・重症と、病室が分かれていますが、これらの病室は近くにありますので、職員や患者が出入りするときに、ウイルスが空中に浮遊する可能性もあるのではないかと心配しています。
ダラ医師:コロナ患者は隔離室に入院しますので、患者の家族や来訪者は患者に会うことはできません。外科棟では、建物に入る前に体温を測り、マスクを装着し、アルコール消毒もしています。

今回コロナ治療チームへの参加を終えて、どう思いますか?
ティアラ看護師:すでに一度経験していますので、もしまたコロナ治療チームに再度抜擢されることになっても、大丈夫だと思います。
ダラ医師:今回チームに参加したことは、私にとっていい経験になりました。今後もできるだけ多くの患者さんを助けたいと思っています。

(写真 左:ティアラ看護師/ 右:ダラ医師)

2021年06月30日

クラチェ州病院に隔離中の新型コロナウイルス感染者や職員に緊急支援を行いました

クラチェ州病院に隔離中の新型コロナウイルス感染者や職員に緊急支援を行いました

カンボジアでは、今年2月20日に新型コロナウイルスによる市中感染が確認されて以来、感染が急速に拡大しています。保健省によると、6月19日の時点で計42,711名の感染者が確認されており、内37,489名が回復し、431名が死亡しました。そのうち1,714名を除くすべての感染者は2月20日に報告された市中感染が原因とされています。クラチェ州内でも、計21名の感染者が確認され、その内12名が回復し、1名が死亡しました。現在、8名の患者がクラチェ州病院で治療を受けています。

クラチェ州でも初となる新型コロナウイルスにより死亡が確認されたのは6月5日でした。患者は当初、胸の痛みと呼吸困難を訴えてクラチェ州病院の外科に入院していました。医師によると、新型コロナウイルスによる呼吸困難が死因になったということです。

クラチェ州病院では、その後、コロナ患者が入院していた間に外科棟に勤務していた職員、他の入院患者やその家族は、14日間の隔離を行いました。しかし、隔離対象者が利用する感染予防対策物資が不足しており、クラチェ州病院からFIDRに対し、支援の要請がありました。これを受け、FIDRはアルコール消毒スプレー50本、アルコール消毒剤30リットル、マスク15箱、液体ハンドソープ10本を支援しました。 クラチェ州病院関係者からは、迅速な支援に感謝の声が聞かれました。予防措置の結果、今現在院内感染は確認されていません。

写真:クラチェ州病院院長(左から2人目)がFIDRから支援物資を受け取りました。

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