FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2021年05月24日

クラチェ州病院の新病棟建設現場での安全対策

クラチェ州病院の新病棟建設現場での安全対策

FIDRはクラチェ州病院で病院環境、特に小児外科治療の環境を改善するため、 当院で新しい外科・産科病棟を建設しています

現在、1階部分の構造部工事は完了し、壁のモルタル塗り、天井の作業、床のタイル張りなど、他の作業の準備を進めています。2階壁のレンガ工事、屋根の構造部工事も進んでいます。現場技術者のフォン・ソファ氏は、2020年12月末に工事を開始して以来、幸い、安全面に問題は発生せず、順調に進んでいると言います。

建設現場の担当者であるヤイト・ヴァナック氏は『建設工程と作業員を守るために安全対策を確実に実施することは、建設現場で最も重要な義務の一つです。』と話します。建設現場では、視認性の高い服、安全ヘルメット、手袋や安全靴、安全ベルトなど個人用防護具を常に適切に着用することが求められます。さらに、建設現場の周囲にフェンスや看板を設置し、建設現場内の作業員と現場外の患者や病院職員を分けることで、双方を隔離し安全性を確保しています。

世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、本プロジェクトの建設現場でも予防対策を徹底しています。作業員はマスクを着用し、毎日体温の測定と体調チェックを行います。そのほか、現場に手洗い場を設置し、アルコールスプレーも準備したことで手の消毒を常に行えるようにしています。

病院での建設工事は、入院患者の快適さと安全性を確保するため、より細心の注意を払って安全対策を実施していく必要があります。新しい病棟は2021年末に完成する予定で、今後も安全管理を適切に行っていきます。

2021年04月13日

カンボジアと日本をつなぎ、オンライン医療勉強会を開催しました

カンボジアと日本をつなぎ、オンライン医療勉強会を開催しました

小児外科支援プロジェクトでは、カンボジア北東部にあるクラチェ州病院を拠点に医療サービスをより良いものにする為に、外科医や病院職員の教育に力を入れています。そのひとつが、日常業務を見直すための院内研修です。職員同士が病気や治療方法について、それぞれの知識や経験を共有し、意見交換を行うことで業務を振り返る時間を持つとともに、他の職員の好事例を取り上げることで、診療レベルの向上へと繋げています。その一環として、3月11日に、日本の麻酔科医・小橋友理江先生とクラチェ州病院手術部の外科医や看護師たちとつなぎ初めてオンライン勉強会を実施しました。

勉強会は、「帝王切開の麻酔方法」をテーマとし、麻酔処置の流れ、患者から取得すべき同意書、実施すべき術前検査、術前の食事・飲水制限、麻酔薬の種類や使用方法等において、カンボジアと日本の間の違いについて活発な意見交換が行われました。特に、帝王切開を受ける患者において、全身麻酔と脊椎麻酔のどちらを選択するかを判断する基準や、用いる麻酔薬の違い、また患者の麻酔レベルを判定する方法の違いには関心が高いようでした。職員からは、「手術の緊急性に応じて麻酔方法を使い分けていることが分かり、とても勉強になりました」という声があがりました。一方で、患者から取得する同意書の種類や、術前に行われる検査の種類、食事制限の時間には大きな違いがないなど、お互いにいくつもの発見がありました。

クラチェ州病院職員からは、「自分たちの麻酔方法を日本の医師に説明することで、自分たちには当たり前のことが日本など他の国では異なる場合があると具体的に理解できてよかった」という声も聞かれ、自身の技術や知識を振り返る貴重な機会になりました。

カンボジアにおいても、新型コロナウイルスの感染拡大によって、移動が制限されるなど、本プロジェクトの活動にも影響が出ています。
小橋先生からは「このような勉強会を続けていくためには、安定したインターネット環境が必要です。カンボジアでも、インターネット環境が整いつつあり、今回の勉強会でこのようなオンライン勉強会を問題なく行う事ができると分かってよかったです。今後も継続的に続けていく必要があると思います」と感想を頂きました。時代に即した方法を模索しながら、今後も外科医や病院職員の教育に力を入れていきます。

(写真/ 向かって右:麻酔科医・小橋先生、左:クラチェ州病院手術部の職員、当プロジェクト現地事業担当アリウン、当プロジェクト担当キムラタナ)

2021年03月25日

職員の意識が変わり、患者の入院環境も変わりつつあります

職員の意識が変わり、患者の入院環境も変わりつつあります

クラチェ州病院は、地域の基幹病院として、住民約40万人の健康を守る責務があります。FIDRがクラチェ州病院で小児外科支援プロジェクトを開始してから4年間が経ちました。病院の院内環境が変わるとともに、職員の意識にも変化が見られています。

プロジェクトの開始当時は、院内の敷地ではゴミが散乱し、トイレは詰まったままで悪臭が漂っていました。そのような状態にあっても、それが「当たり前」のため、職員も利用者疑問を持たずに、変化のない日々が淡々と繰り返されていました。

しかし、病院職員の中には、過去にFIDRの支援により国立小児病院で研修を受けた医師や看護師が今も活躍しており、院長を始め数名の職員は現状を変えたいという意思を持っていました。彼らと一緒にトイレや水場、ゴミ集積場の改修を進める中で、FIDRの美化意識は病院全体にも広がり、外科以外の診療科のトイレも自主的に改修され、昔はゴミが散乱していた場所は花壇に生まれ変わりました。「こういう癒しの場所をずっと作りたかった」という看護師長の思いが変化の推進力となったのです。

今では、看護師から患者に対して、「このトイレは、日本の方々の志でキレイに建て替えられました。次は私たちが感謝してキレイに使う番です」と、病室や病院内を清潔に保つ大切さを呼びかけてくれるようになりました。

院内環境の改善に関する意識だけではなくて、患者に向き合う意識も変わってきました。病院で手術を受けた患者が退院後も順調に回復しているか、経過観察が重要ですが、退院後に再来院する患者は少ないことに対して懸念を感じ、「退院した患者の家庭訪問をしたい」と看護師たちから声が挙がるようになりました。

FIDRの小児外科支援プロジェクトに専門家として関わり続けている小児外科医の石井智浩医師は「これまでクラチェ州病院を定期的に訪れ、彼ら(病院職員)と一緒に小児外科診療の向上に何が必要かをともに考えてきました。最近では、自分たちがクラチェ州最高峰の医療機関の職員として小児外科診療の担い手になろうとの意識の変化も感じています」と述べ、働く人たちの自主性や積極性、さらにはやりがいを引き出すような支援の継続の重要性を指摘しています。

FIDRという外部からの支援は、変化を生み出すきっかけにすぎません。効果が持続的に発揮されるかは、病院職員の意識にかかっています。地方に暮らす子どもたちが安心して地元で治療を受けられるように、その主役である病院職員と一緒に、一歩一歩、前に進み続けます。

(写真:看護師による患者教育の様子)

2021年02月12日

クラチェ州の住民への普及・啓発活動として、小児外科支援チームがラジオ放送に出演しました

クラチェ州の住民への普及・啓発活動として、小児外科支援チームがラジオ放送に出演しました

カンボジアでは、特に、地方の村落では、住民は、病気になったとき、すぐに医療機関へ行かないことが往々にしてあります。村の最寄りの医療機関は保健センターになりますが、保健センターに行く必要性を感じなかったり、より身近な伝統医療に頼ることで受診が遅れてしまうこともあります。小さな子どもの場合、言葉で伝えることができないため、大人が正しい知識を持っていないと手遅れになる場合があります。

小児外科支援プロジェクトでは、子どもたちが手遅れにならずに適切な医療を受けられるように、住民へのラジオによる普及・啓発活動も実施しています。1月29日、FIDR職員2名とクラチェ州病院の外科医師がラジオ(現地のFacebook同時配信・生放送)に出演し、「小児外科疾患の症状」をテーマに話をしました。

州病院のマブ医師は、小児外科の病気で、緊急に治療が必要な場合とそうでない場合、伝統医療に頼って受診が遅れてしまうよくある病気、やけど、骨折、動物による咬み傷などについて説明しました。また、お金がないことで受診を控えてしまう人たちがいることを憂慮して、診察代や手術費がカバーされる貧困者救済基金という制度があること、病院でも診療代や手術費用の免除を検討できることを説明し、「子どもの具合が悪くなったら、とにかく、まずは保健センターに行って下さい。保健センターで治療ができない場合は病院が受け入れることができますからとにかく受診して下さい」と熱心に訴えました。

放送中に、早速視聴者からクラチェ州での小児外科患者の治療を受けられる医療施設や手術を受けられる可能性などの質問が寄せられました。Facebookでの再生回数が放送後1日で800回を超えたことからも住民の関心が高かったことが伺えます。尚、ラジオは1か月間再放送され、FacebookとYou Tubeはアーカイブ配信されます。

写真:向かって左から、当プロジェクト現地事業担当アリウン、クラチェ州病院のマブ医師、当プロジェクト担当ラタナ、後方は、クラチェ州病院の正門写真。

2021年01月25日

クラチェ州病院の外科・産科病棟の建設が開始されました

クラチェ州病院の外科・産科病棟の建設が開始されました

現在、FIDRは、クラチェ州病院で、老朽化した外科・産科病棟を新築し、小児外科医療に適した院内環境を整備する建設計画が進めています。1月11日に、新病棟建設の起工式が行われました。

起工式には、クラチェ州知事、クラチェ州保健局、クラチェ州病院の関係者等60名が参加しました。起工式には、僧侶も招き、参加者全員で病棟が無事に完成するように祈願しました。式典は1時間程で執り行われ、出席したクラチェ州知事は日本国民からのクラチェ州に対する継続的な支援に感謝の意を表し、「本日、クラチェ州病院の外科棟と産科棟が新築されることになり、大変嬉しく思います。病院職員の方々には患者を思いやり、良いサービスを届けていただくようお願いします。」という挨拶がありました。

現在の外科病棟は手術棟と離れているため、術前・術後の患者が炎天下や雨水にさらされながら、ストレッチャーで屋外を往来しなければなりません。そこで、今回新しく建設される外科・産科病棟は、手術棟に隣接することで、このような患者の負担を減らす狙いがあります。

また、新病棟に入る外科と産科、そして手術棟の奥に隣接する小児科も合わせて、子どものケアに関係する診療科が物理的に一体となることで、各病棟が連携し、小児患者一人ひとりの成長過程や症状に合わせて、適切な医療が提供されることが期待されています。FIDRカンボジア事務所の佐伯所長は「チーム医療」の重要性に言及し、「各チームや各スタッフがそれぞれの専門を生かし共に患者を治療することができれば、クラチェ州病院はカンボジア北東部のモデルとなることができます」と述べました。

現在は、2021年末の完成に向けて、基礎工事が行われています。工事中の騒音や安全対策を徹底するなど、入院中の患者さんの負担にならないように最大限に配慮しながら、工事は着実に進んでいます。

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