FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2021年07月28日

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.2

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.2

クラチェ州病院外科のダラ医師とティアラ看護師は、今回のコロナ患者治療の経験を経て、普段の業務の改善点が見つかったようでした。

コロナ患者の容体の変化は激しいため、24時間体制で治療にあたる必要がありました。医師は朝、昼、晩の決まった時間の回診に加え、症状の変化に応じて患者の元を訪れ、重症患者には1日に10回程訪れることも少なくありませんでした。ダラ医師からは「今までは、患者に呼ばれてから診察していましたが、今後は頻繁に患者の様子を見に行くようにします」と話してくれました。

また、コロナ治療では、看護の仕方も異なります。カンボジアでは一般的に、医師や看護師は治療や薬の投与に専念し、日本と違って入院中の食事や身の回りのことは看護師ではなく患者の家族や保護者が行います。しかし、コロナ治療病棟では保護者の立ち入りが禁止されていたため、保護者ではなく看護師が患者の身の回りのケアも行いました。
ティアラ看護師は今回の経験を活かし、「これまで定期的に行ってきた患者教育では、コロナの予防対策としては、正しい手洗いやマスク着用、ソーシャルディスタンスが主なテーマでした。しかし、コロナ患者の治療にあたっていた際に、糖尿病の持病があり、コロナウイルスに感染して重症化した患者さんがいました。今後の患者教育では、糖尿病を予防する方法や食事についても伝えていきたいです」と語りました。

コロナ患者治療の経験をもとに、病院全体の感染予防対策や衛生状況など院内環境や、医療サービスが改善され、小児を含む外科患者の治療やケアの改善にも活かされていくことが期待されます。 ]

(写真:外科で行われた患者教育の様子)

2021年07月26日

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.1

コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.1

FIDRが活動しているカンボジアのクラチェ州では、今年4月に初めて陽性者が確認され、州の主要病院であるクラチェ州病院でも、医師や看護師が持ち回りでコロナ患者の治療にあたっています。FIDRのカウンターパートである外科の職員からも、5月下旬から6月上旬にかけて、ダラ医師とティアラ看護師の計2名がコロナ患者の治療チームに参加しました。今回彼らにオンラインで取材したところ、現在のクラチェ州病院のコロナ患者治療の状況と、コロナ対応の経験から得た、今後の外科診療につながる気付きについて語ってくれました。これから2回にわたり、お届けします。

コロナ治療チームに参加することになり、あなたやご家族はどのように思いましたか?
ティアラ看護師:最初は少し緊張しましたが、大事な仕事なので、頑張ろうと決心しました。私の家族が、私が感染するのを心配していました。
ダラ医師:私の家族も心配していましたが、私の仕事のことをよく理解して、応援してくれました。

コロナ治療チームでは、具体的にどんな業務を担当しましたか?
ティアラ看護師:1日24時間ずっとスタンバイしていました。 新患でコロナの疑いがあるときは、患者の症状をチェックし、PCR検査用に検体をプノンペンへ送るか判断するため簡易迅速検査を行いました。
また、毎朝8時から入院患者のバイタルサイン(呼吸・体温・血圧・脈拍など)をはかり、薬を投与し、医師からの指示を確認して対応しました。患者の容態に問題がないか常に見守り、異常があったら、すぐ医師に連絡していました。
ダラ医師:別の医師とともに、14日間で16人の患者の治療を担当しました。

他の病気の患者の治療と比べて難しいことや大変だったことがありますか?
ティアラ看護師:持病で糖尿病があり、重症化した患者さんが1人いました。 呼吸困難があり、酸素飽和度は低く80%しかありませんでした。体温は高く、37.5℃から38.6℃の間でした。私は何度も患者の様子を確認しに行きました。6日目に呼吸の状態が厳しくなり、医師から肺のレントゲンをとるよう指示がでました。肺に問題があることがわかり治療を続けた結果、患者さんの状態は良くなり、無事に退院できました。
ダラ医師: コロナ患者の症状は変化が激しいため、24時間体制で治療にあたる必要がありました。症状の変化に応じてすぐ対応できるように、1日に何度も回診しました。軽症患者の回診は1日に2回、中等症の患者は4,5回、重症の患者は10回以上も診察することがありました。 また、防護服を常に着ているので、患者に直接触れて、肺や心臓の音を聞いたりすることはできませんでした。できることは、病歴と症状について尋ねることだけです。

コロナの予防対策としては、病院ではどのようなことを実施していますか?
ティアラ看護師:患者と接するときには、保健省のガイドラインに従い、防護具を装着します。また着脱の際には、必ず手と体をアルコールスプレーで除菌します。患者の症状の程度によって、軽症・中等症・重症と、病室が分かれていますが、これらの病室は近くにありますので、職員や患者が出入りするときに、ウイルスが空中に浮遊する可能性もあるのではないかと心配しています。
ダラ医師:コロナ患者は隔離室に入院しますので、患者の家族や来訪者は患者に会うことはできません。外科棟では、建物に入る前に体温を測り、マスクを装着し、アルコール消毒もしています。

今回コロナ治療チームへの参加を終えて、どう思いますか?
ティアラ看護師:すでに一度経験していますので、もしまたコロナ治療チームに再度抜擢されることになっても、大丈夫だと思います。
ダラ医師:今回チームに参加したことは、私にとっていい経験になりました。今後もできるだけ多くの患者さんを助けたいと思っています。

(写真 左:ティアラ看護師/ 右:ダラ医師)

2021年06月30日

クラチェ州病院に隔離中の新型コロナウイルス感染者や職員に緊急支援を行いました

クラチェ州病院に隔離中の新型コロナウイルス感染者や職員に緊急支援を行いました

カンボジアでは、今年2月20日に新型コロナウイルスによる市中感染が確認されて以来、感染が急速に拡大しています。保健省によると、6月19日の時点で計42,711名の感染者が確認されており、内37,489名が回復し、431名が死亡しました。そのうち1,714名を除くすべての感染者は2月20日に報告された市中感染が原因とされています。クラチェ州内でも、計21名の感染者が確認され、その内12名が回復し、1名が死亡しました。現在、8名の患者がクラチェ州病院で治療を受けています。

クラチェ州でも初となる新型コロナウイルスにより死亡が確認されたのは6月5日でした。患者は当初、胸の痛みと呼吸困難を訴えてクラチェ州病院の外科に入院していました。医師によると、新型コロナウイルスによる呼吸困難が死因になったということです。

クラチェ州病院では、その後、コロナ患者が入院していた間に外科棟に勤務していた職員、他の入院患者やその家族は、14日間の隔離を行いました。しかし、隔離対象者が利用する感染予防対策物資が不足しており、クラチェ州病院からFIDRに対し、支援の要請がありました。これを受け、FIDRはアルコール消毒スプレー50本、アルコール消毒剤30リットル、マスク15箱、液体ハンドソープ10本を支援しました。 クラチェ州病院関係者からは、迅速な支援に感謝の声が聞かれました。予防措置の結果、今現在院内感染は確認されていません。

写真:クラチェ州病院院長(左から2人目)がFIDRから支援物資を受け取りました。

2021年05月24日

クラチェ州病院の新病棟建設現場での安全対策

クラチェ州病院の新病棟建設現場での安全対策

FIDRはクラチェ州病院で病院環境、特に小児外科治療の環境を改善するため、 当院で新しい外科・産科病棟を建設しています

現在、1階部分の構造部工事は完了し、壁のモルタル塗り、天井の作業、床のタイル張りなど、他の作業の準備を進めています。2階壁のレンガ工事、屋根の構造部工事も進んでいます。現場技術者のフォン・ソファ氏は、2020年12月末に工事を開始して以来、幸い、安全面に問題は発生せず、順調に進んでいると言います。

建設現場の担当者であるヤイト・ヴァナック氏は『建設工程と作業員を守るために安全対策を確実に実施することは、建設現場で最も重要な義務の一つです。』と話します。建設現場では、視認性の高い服、安全ヘルメット、手袋や安全靴、安全ベルトなど個人用防護具を常に適切に着用することが求められます。さらに、建設現場の周囲にフェンスや看板を設置し、建設現場内の作業員と現場外の患者や病院職員を分けることで、双方を隔離し安全性を確保しています。

世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、本プロジェクトの建設現場でも予防対策を徹底しています。作業員はマスクを着用し、毎日体温の測定と体調チェックを行います。そのほか、現場に手洗い場を設置し、アルコールスプレーも準備したことで手の消毒を常に行えるようにしています。

病院での建設工事は、入院患者の快適さと安全性を確保するため、より細心の注意を払って安全対策を実施していく必要があります。新しい病棟は2021年末に完成する予定で、今後も安全管理を適切に行っていきます。

2021年04月13日

カンボジアと日本をつなぎ、オンライン医療勉強会を開催しました

カンボジアと日本をつなぎ、オンライン医療勉強会を開催しました

小児外科支援プロジェクトでは、カンボジア北東部にあるクラチェ州病院を拠点に医療サービスをより良いものにする為に、外科医や病院職員の教育に力を入れています。そのひとつが、日常業務を見直すための院内研修です。職員同士が病気や治療方法について、それぞれの知識や経験を共有し、意見交換を行うことで業務を振り返る時間を持つとともに、他の職員の好事例を取り上げることで、診療レベルの向上へと繋げています。その一環として、3月11日に、日本の麻酔科医・小橋友理江先生とクラチェ州病院手術部の外科医や看護師たちとつなぎ初めてオンライン勉強会を実施しました。

勉強会は、「帝王切開の麻酔方法」をテーマとし、麻酔処置の流れ、患者から取得すべき同意書、実施すべき術前検査、術前の食事・飲水制限、麻酔薬の種類や使用方法等において、カンボジアと日本の間の違いについて活発な意見交換が行われました。特に、帝王切開を受ける患者において、全身麻酔と脊椎麻酔のどちらを選択するかを判断する基準や、用いる麻酔薬の違い、また患者の麻酔レベルを判定する方法の違いには関心が高いようでした。職員からは、「手術の緊急性に応じて麻酔方法を使い分けていることが分かり、とても勉強になりました」という声があがりました。一方で、患者から取得する同意書の種類や、術前に行われる検査の種類、食事制限の時間には大きな違いがないなど、お互いにいくつもの発見がありました。

クラチェ州病院職員からは、「自分たちの麻酔方法を日本の医師に説明することで、自分たちには当たり前のことが日本など他の国では異なる場合があると具体的に理解できてよかった」という声も聞かれ、自身の技術や知識を振り返る貴重な機会になりました。

カンボジアにおいても、新型コロナウイルスの感染拡大によって、移動が制限されるなど、本プロジェクトの活動にも影響が出ています。
小橋先生からは「このような勉強会を続けていくためには、安定したインターネット環境が必要です。カンボジアでも、インターネット環境が整いつつあり、今回の勉強会でこのようなオンライン勉強会を問題なく行う事ができると分かってよかったです。今後も継続的に続けていく必要があると思います」と感想を頂きました。時代に即した方法を模索しながら、今後も外科医や病院職員の教育に力を入れていきます。

(写真/ 向かって右:麻酔科医・小橋先生、左:クラチェ州病院手術部の職員、当プロジェクト現地事業担当アリウン、当プロジェクト担当キムラタナ)

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