FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2020年12月24日

小児外科治療は、術後のフォローアップまで!

小児外科治療は、術後のフォローアップまで!

患者が病院で手術や処置を受けた後、合併症もなく順調に回復しているか、手術や処置が適切であったかを判断するためにも、退院後も継続的な診療は欠かせません。しかしカンボジアでは、一度治療を終えて退院してしまうと、回復状態を確認するために来院するように医師が求めてもそれに応じる患者は極めて少ないのが実情です。クラチェ州病院も例外ではありません。FIDRは当院の術後の患者のフォローアップとして、看護師が退院した元患者の自宅を訪問し、その後の様子や合併症がないかを確認する活動をサポートしています 。

2020年10月21日、FIDRは、退院後の患者の様子が気になるというケティ看護師の声をうけ、術後フォローアップのためにクラチェ州のバンレー村に住む小児外科患者を訪問しました。訪問した患者は、3歳の男の子で、2020年3月末から1カ月、両足の火傷によりクラチェ州病院に入院していました。火傷を負ってから家で患部に「歯磨き粉」をぬり、知り合いのクリニックで火傷の消毒をしてもらうなどして4日が経つ時に、患部が悪化した状況でクラチェ州病院に来ました。

訪問の結果、合併症や運動機能に異常がないようでしたが、一部に赤黒いケロイドが生じていました。今後その範囲や程度が進行すれば機能障害が危ぶまれ、手術が必要になるため、注意深く観察するように患者のお母さんにアドバイスをしました。

息子の傷跡を心配していたお母さんは、ケティ看護師の術後の経過が良好という言葉に安堵した様子でした。ケティ看護師にとって、退院後の患者の回復を確認するために患者の自宅を訪問するのは初めての経験で、退院後の患者のフォローアップの重要性を改めて認識したようです。二人は電話番号も教え合い、不安があれば電話で相談することを約束して別れました。

クラチェ州病院に来院してから完治まで、ずっとケアをしてきたケティ看護師の存在に、「ケティ看護師が親身に診てくれたおかげで、不安が和らぎました」とお母さんからは感謝の声が聞かれました。

2020年03月02日

小さなことから改革していく大切さ

小さなことから改革していく大切さ

こんにちは。私は東京外国語大学カンボジア語専攻1年の伊藤成美と申します。2月3日からFIDRのクラチェ州小児外科支援事業にインターンで参加させていただいております。

クラチェ州病院でインターンを開始してから3週間が経ち、様々な活動に参加させていただきました。その中でも印象に残った、コンポンチャム州病院への視察ツアーについて紹介します。

コンポンチャム州病院はカンボジアの地方病院の中でも高い評価を受けている病院です。
病院の中を回っていてクラチェ州病院と大きく違うと思ったことは、スタッフ全員が白衣と帽子をきちんと身に着け、名札も付けていることです。スタッフの制服が揃っていて清潔感があるということは病院全体の印象に影響していると思います。また、スタッフの名前がわかることは患者さんの安心にもつながるのではないかと思います。クラチェ州病院では白衣を羽織るだけで患者さんの処置をするスタッフを見かけます。私は服装を正すことはすぐに実践できることだと思い、この視察の翌日、外科病棟のナースステーションのホワイトボードに、勤務中は白衣・帽子を着用して名札を付けるように呼びかける文章をカンボジア語で書きました。次の日に外科病棟を訪れると、患者さんの処置にあたっていた殆どのスタッフがしっかり帽子まで身に着けており、名札を付けているスタッフも多くなりました。この状態が当たり前の状態になっていくとよいと思います。

コンポンチャム州病院を訪れたことでクラチェ州病院との比較をすることができました。
日本の病院との比較だけではカンボジアの病院はどこも問題点が多々ある状態ですが、カンボジアの病院同士を比較できたことでクラチェの病院でもすぐに改善できるところを見つけ、実践することができました。また、各病院の状況は違いますが、それぞれの病院のスタッフは病院をより良くしようと努力していていることがわかりました。病院の建物や機材は様々な国が支援していますが、そこで働くスタッフがどのように病院をより良くしていくのかを手伝っていくことの重要性を強く感じました。

今回のインターンで学んだことは、自分一人ができることの小ささと、物ではなく人を通じて助け合うことの大切さです。価値観が違う人々を一人の力で変えることは難しいですし、多くのお金や土地を必要とするような改革は一人ではできません。また、その土地に住み慣れている人々の生活を壊すこともできません。しかし、人々との関係を築いて知識や考え方を共有していくことで少しずつ今の状況を改善していけるのではないかと思います。今回のインターンシップで学んだことをもとに、これから自分に何ができるのかを具体的に考えていきたいです。

伊藤成美

※写真:「勤務中は白衣・帽子を着用し、名札を付けるようにしましょう」という呼びかけの文章をカンボジア語で書く伊藤さん

2020年02月18日

インターンで感じたこと

インターンで感じたこと

こんにちは。東京外国語大学カンボジア語専攻1年の伊藤成美と申します。2月3日からFIDRの小児外科支援事業にインターンで参加させていただいております。

インターンが始まってから1週間が経ち、病院の医師や看護師の方々とお話ししたり、パソコンに向かって仕事をしたり、FIDRのミーティングに参加したりして、NGOの仕事の様子を少し知ることができました。わからないことも多々ありますが、プロジェクトマネージャーの佐伯さんや教育係のラタナさんをはじめとしたスタッフの方々が丁寧に教えてくださり、たくさんのことを学ばせていただいております。

まだまだ病院の現状を把握しきれてはいませんが、私が想像していたよりも多くの問題を抱えていると感じました。私が気づいたことは3つあります。

1つ目は、衛生環境が整っていないことです。病室は窓やドアが開けたままになっているため、虫や砂が入ってきます。その中で処置が行われています。また、手術室は清潔に保とうという考えはあるものの注意が徹底されておらず、小さな虫が飛んでいるのを発見したときは驚きました。
2つ目は、患者さんのプライバシーに対する配慮が欠けていることです。病室は男女一緒でベッドの間にカーテンはなく、その患者さんやお見舞いに来ている人から見えてしまいます。女性で、お尻に患部のある患者さんの処置が他の人から見える状態で行なわれていました。
3つ目は、医師や看護師が仕事中に患者さんの近くでおしゃべりをしているということです。患者さんやその家族は静かに過ごしているのに、医師や看護師は大きな声で話しています。処置の途中に目を離すこともあり、自分が患者の立場だったら不安だと思いました。

特に、医師や看護師は患者さんの声を通じて、患者さんのために配慮すべきことに気づけるのではないかと思います。これから患者さんと話す中で、もし気になることがあれば医師や看護師にできるだけ伝えるように声をかけたいです。日本では当たり前のことも、カンボジアでは考え方や感じ方が違うと思います。患者さんが快適に過ごせるように、この病院に関わる多くの人たちに話を聞いて理解を深めていきたいです。

活動に参加させていただく中で、FIDRのスタッフと病院のスタッフがよい関係にあることが、活動を進める中で重要だと感じました。病院の中を案内していただいたとき、ラタナさんは医師や看護師に声を掛け、とても仲良く話していました。よい関係が築けているからこそ、彼らと話し合い、一緒に病院を良くしていこうという体制がとれているのだと思います。

残り3週間のインターンを通して、現場でのFIDRの活動を学び、病院のために自分ができることを実践していきたいと思います。

伊藤成美

(写真:外科ナースステーションで外科のティアラー看護師と話す伊藤さん(写真右))

2020年01月07日

患者さんに届いた日本人の歌声!ー音楽と医療ー

患者さんに届いた日本人の歌声!ー音楽と医療ー

治療技術や薬の効果だけが患者さんを癒せるのでしょうか?

カンボジアの一般的な病院では、視覚や聴覚によって患者さんの「心」を癒すことはあまり重視されていません。暑い中でベッドに横たわり、蝿を追いやりながらただ黙って天井を見上げて毎日を過ごす...。病院は、病気への不安に耐えるためだけの場ではないはず。

「入院生活に少しでも笑顔を増やしたい」と考えた私たちは、殺伐とした病棟を<音楽>の力で変えるべく、静岡からシンガーソングライター・丸山研二郎さんをクラチェ州病院に招き、初の院内コンサートを開きました。

会場となった外科病棟には、噂を聞きつけた他科の患者さんや子どもたちも集まりました。初めて耳にする日本語の歌、そして丸山さんの透き通る歌声に誰もが釘付けです。最後に、カンボジアでは誰もが知っている『アラピヤ』という曲を丸山さんがクメール語で歌うと、全員が大合唱!涙する女性、体を動かせずとも本当は拍手したいと言う患者さん、はしゃぐ子どもたち。

文化を越えてたくさんの心と心が重なった瞬間に、私たちが目指すべき笑顔溢れる理想の病院像が見えました。

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