FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2018年12月21日

みんなの病院トイレ 建設計画 ーなぜトイレなのか編ー

みんなの病院トイレ 建設計画 ーなぜトイレなのか編ー

カンボジア小児外科支援事業が活動している、クラチェ州病院。
首都から車で6時間の小さな町にある、地域の大事な病院です。

初めてこの病院に来たときの第一印象は・・・

「絶望的に汚い」。

医療機関なのに、ゴミが至るところに散乱。
水浴びや食器洗いに使う共用の水溜めには覆いもなく直射日光や雨水が注がれて藻が繁茂。
その水は、歯磨きや哺乳瓶の洗浄にも使われる!

特に、老朽化したトイレの汚さは超絶でした。
詰まりによる強烈な汚臭は、病棟まで漂ってきます。
清掃スタッフも手の施しようがないときは、放置されたまま。

患者からは
「トイレが臭くて寝られない・・・でも暑いから窓を閉める訳にもいかない。」という声も。
他にも
・利用者が一つずつ個室のドアを開け、ちょっとでもましな所を選ぶ。
・個室を諦め、トイレの裏で用を足す。
・点滴を吊るす台やフックもないので、付き添い家族がドアの外で点滴を持ち、患者のトイレが終わるのを待っている。

これらは、日常的な光景です。
でも、<この病院ならまた来てもいい>と思ってもらえるでしょうか?

初めのうちは
「それでも使えているのだから今のままでいい」
「トイレより新しい医療機器が優先だ」
と言っていた病院職員たち。

しかし、FIDRが何度も話題に出すものですから
『自分たちの病院は、患者からどう見られているのだろう?』
と、各々がひそかに意識し始めたようです。

徐々に、患者の立場になった発言が出てくるようになり
衛生的な病院にしたい、という声が高まり
遂には、病院側とトイレ改修の合意が得られました。

衝撃の初訪問から丸2年。
いよいよトイレ改善に向けた工事が始まります。
手術室や病棟内での医療行為だけでなく院内環境の良し悪しも、患者の治癒や回復具合に影響します。
水場や炊事場、ゴミ集積場など、治療の舞台から少し離れたところにも病院改善に繋がるヒントはあるはずです。

患者のみなさん、あともう少し!
もう少しで、キレイなトイレが使えますからね。

2018年10月11日

手術が必要なのに、病院に来ない子ども達

手術が必要なのに、病院に来ない子ども達

クラチェ州のプロジェクトサイトには、様々なゲストがやってきます。 8月はインターンの学生さんに続き、日本から医療者の先生が調査研究で訪問されました。これは、そのとある日の光景です。

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こんにちは。私は麻酔科医の染川友理江と申します。8月27日より2週間、クラチェ州病院に滞在させて頂きました。今回の滞在で、印象的だった男の子の話をしたいと思います。

その男の子は顔と左手全体と胸のあたりに、まだほんの幼い頃、重度の火傷を負いました。カンボジアの田舎では、料理などに直接火を使う機会が多く、火傷を負う子供がたくさんいます。その男の子は、他団体による無料検診の際に発見され、クラチェ州病院にやってきました。日本だったら、重度の火傷を負った子供は、すぐに大きな病院で治療を受ける事ができます。火傷によって皮膚が大きく欠損した部分があれば、皮膚移植などの外科治療を行うこともできます。しかしその男の子は、そういった治療を受けていませんでした。その結果、左手の指と腕の皮膚はくっついたまま、骨が成長したせいで、手は変形していました。左手がほとんど使えない状態です。このような状態となってしまった今、複数回にわたる難しい手術を受ける必要があります。その男の子は自分の家と病院を往復するお金が無い為、お姉さんとともに、しばらくクラチェ州病院の外科病棟に入院する事となりました。隣にいる若いお姉さんも、不安そうな表情です。

しかし、良い知らせを受ける事となります。FIDRの仲介により、プノンペンにある国立小児病院という専門病院で、手術を受けられる事となったのです。FIDRスタッフがその事を説明すると、お姉さんの顔が晴れやかになりました。その子は手術を受けて、これから左手の機能を一部取り戻すでしょう。彼と同じように手の火傷の瘢痕(「はんこん」。できものや傷などが治った後に皮膚面に残るあと)を手術治療によって克服し、偉業を成し遂げた野口英世のように、彼に明るい未来が待っている事を願います。FIDRの現地に密着した活動が、身を結んだ瞬間であると思いました。このような瞬間を積み重ね、クラチェの医療をFIDRのスタッフの方々は着実に改善していくと思います。

私の今回の訪問の目的は、火傷を負った男の子のように手術を受ける必要があるのに病院に来ない子供達を減らす為に、なぜこのような子供達は病院に来ないのかについて調査を行う事でした。その為に、クラチェ州病院から数時間かけて、保健センターと呼ばれるクラチェ州の地方の医療拠点に行かせて頂きました。今回の調査の結果を踏まえ、今後は実際に小児外科患者が病院に来る事ができるようにする為に、対策を講じる事が出来たら、と考えております。また、麻酔科医という専門性を生かして、クラチェ州病院の麻酔の安全改善と手術室の安全向上にボランティアとして貢献できれば、と考えております。

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2018年08月23日

クラチェでのインターンシップ

クラチェでのインターンシップ

こんにちは。僕は、東京外国語大学カンボジア語科三年生の竹内駿平と申します。7月30日よりFIDRのクラチェ州小児外科支援事業にインターンシップとして参加させていただいております。

ここクラチェ州はプノンペンから車で6時間程の距離で、とてものどかで過ごしやすく、夕方にはいつも美しい夕日が見えます。しかし、対照的にクラチェ州立病院の中では状況がめまぐるしく変わり、学ぶこと、考えることが尽きません。おかげで忙しく濃密な毎日が続き、今までを振り返ってみるとかなり長い時間が経ったように感じられます。

インターンシップ一週目はプロジェクト・マネージャーの佐伯さんが病院を巡りながら院内の問題を一つ一つ説明してくださいました。手術に必要な器具が不足していたり、麻酔の技術と経験が不足し、手術が行われなかったり、この病院の問題の数には驚かされるばかりです。中でも、目につくのは病院の衛生環境です。病院のトイレには苔が生え、病棟には悪臭が漂い、地面にはタバコの吸い殻、ガラス瓶の破片が飛び散っていました。数ある問題の中から焦点を絞りこみ、僕はこの四週間のインターンシップのテーマを病院内のゴミ問題の解決に設定することにしました。

今まで行ってきたこととしては、落ちているゴミの種類と処理方法を観察し、ゴミが散らかる原因を追求し、そしてそれぞれに対する解決策を考えました。現在考えている解決策は、ポイ捨て禁止を呼びかけるための分かりやすくて効果的なポスターの作成、喫煙所の設置、清掃スタッフおよび患者の意識への働きかけなどです。ゴミ箱の数が大きく不足しているわけでもない点や、ゴミ箱のすぐそばでゴミが散らばっている点を考慮し、問題の原因は物資の不足ではなく、患者および清掃スタッフの意識にあるのではないかと考えました。そのため、以上の解決策は患者、清掃スタッフの習慣、意識の変換に重きを置いたものにしました。残り二週間で実行できることには限りもありますが、計画をより具体的にし、できることを地道に実践していければと考えております。また、現在でもかなり多くのことを学ばせていただいておりますが、後悔のないようプロジェクト・チームのみなさんを見習いつつ、NGO事業への理解をより一層深めたいと思います。

竹内駿平

2018年03月27日

患者満足度調査が行われています

患者満足度調査が行われています

カンボジア小児外科支援の活動拠点をクラチェ州病院に移してからまもなく1年が経過します。これまで20年間にわたり首都プノンペンにある国立小児病院を拠点として行ってきた活動の成果をもとに、北東部地方における子どもの外科診療体制を整えるため、州内の病院や診療所の人材育成と患者搬送システムの改善などに取り組んでいます。

現在、外科の小児入院患者の保護者を対象に、州病院に対する満足度調査を行っています。主に「医療サービス」「病院職員の説明や接し方」「院内環境」に関しての聞き取り調査を行い、3月末までに聞き取った内容をもとに、外科病棟・手術病棟スタッフと日常業務を見つめ直し、より良い病院作りを共に考えていく予定です。

地方の医療サービス発展のためのモデルケースをつくるべく進めている当プロジェクト。目標達成まではまだまだ先の長い道のりになることが予想されます。国立小児病院スタッフや保健行政機関と連携し、日本の専門家の皆様のお力添えをいただきながら、カンボジア各地の子どもたちが適切な医療サービスを受けられる日を目指して邁進していきます。


※写真:外科病棟の外で、小児入院患者の母親から聞き取り調査を行うプロジェクト・スタッフ。回答者が周囲に気兼ねすることなく答えられる場所を選ぶことも大切です

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