11月1日、在カンボジア日本国大使館にて、「日本NGO連携無償資金協力」の契約が締結されました。この資金は国立小児病院の手術棟を拡張するためFIDRが外務省に申請していたもので、案件の重要性が認められ満額の交付決定となりました。
病棟の本格的な拡張工事は今年の12月から開始されます。手術室増設に加え、病院スタッフの研修室や、重症患者の術後回復室も新設する予定です。
国立小児病院(以下NPH)外科では、待合ロビーで患者や付添の家族にみてもらうためのビデオを制作しています。このビデオは、NPHの患者に典型的な疾病の治療法や予防法などが主な内容で、シナリオはNPH外科とFIDRが共同で作成。キャストは外科スタッフや患者で、FIDRスタッフは撮影、編集を担当します。
昨年度から始まったこの教育ビデオ制作は、これまでに「口唇口蓋裂」および「火傷」に関する2本ができあがっています。そして、現在は「骨折時のギプス」と「先天性奇形」をテーマとした2本を制作中です。
このビデオは、患者や家族への教育効果を目指すばかりでなく、外科スタッフがビデオ制作に携わることで、患者教育に対する意識をより向上させることも目的としています。
FIDRではこれまで5年間、カンボジア各地の公立病院に所属する外科医を対象に、小児外科の診療技術の研修をプノンペンの国立小児病院(以下NPH)で進めてきました。研修を終えた医師たちは、それぞれの所属病院に戻り子どもの外科治療にあたっています。
手術に不可欠なのが麻酔。小さな子どもへの麻酔は高い技術が求められます。しかし地方病院には小児麻酔に習熟したスタッフがいないというのが、研修を終えた外科医たちに共通する悩みでした。麻酔をきちんと行うことができれば手術の幅が広がり、治療できる患者の数も増えます。
そこで、FIDRは「地方病院麻酔スタッフに対する小児麻酔研修」を2011年5月30日に開始し、毎年継続して行うことにしました。これはカンボジア初の小児麻酔の公式研修プログラムです。同年11月には第1期生である計7名が規定のカリキュラムを終え修了証書を受け取りました。
地方病院に戻った修了生たちからは、「子どもへの麻酔に以前は大きな困難を感じていたが、現在では難なく遂行できるようになった」、「1歳以下の患者への麻酔を初めて行えるようになった」といった報告が寄せられています。