FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2019年11月07日

小児外科支援チームが、カンボジアのコミュニティFMに登場!

小児外科支援チームが、カンボジアのコミュニティFMに登場!

最近のカンボジアでは、情報源は1に口コミ、2にFacebook、そして3にテレビやラジオです。
(新聞記事は紙で読まれるよりも、フェイスブックでシェアされることが多い)

そこで、地域の人々に手術が必要な症状、手術で治る症状を幅広く伝え、もっと多くの患者さんが病院を訪れる仕組みを作るために、私たちが注目したのがラジオ放送でした。
番組は、音声放送だけではなく、スタジオ映像がFacebookでライブ配信されるので、映像資料としてもずっとウェブ上に残り、聞き逃してもいつでも視聴が可能なのです。

「手術」という言葉は知っていても、それがどんな行為なのか、どんな病気を治せるのか、正しく理解できている人は多くありません。
今回は、クラチェ州病院のマブ医師、プロジェクト専門家の石井智浩医師も出演して、難しい専門用語ではなく、身体の不調や異常といった症状の例を挙げながら説明しました。

(ライブ配信映像はコチラ

番組中や終了後には、早速リスナーから電話相談が寄せられ、人々の反応の速さに驚きました。日常で健康不安を抱えながらも、医療スタッフに気軽に相談できないという人たちは多くいます。ラジオによって、地域の潜在的な患者と医療者が直接繋がった瞬間でした。

クラチェ州病院のマブ医師は、番組の最後にこう言いました。
「私は、クラチェの人々に健康で過ごしてほしい。不安があれば病院に来てください。 貧困カード(※)があれば、医療費は免除になります。無ければ病院が医療費の相談に応じます。お金の心配はせず、とにかくまずはあなたの健康のために、病院を訪れてください。」

主語が「私」で、これは医療者たる彼の純粋な気持ちです。
カンボジアでは無料診療を掲げる医療団体は数多く存在しますが、FIDRは公立病院が<持続的>に質の高い医療サービスを提供できる体制作りを支援しています。国で定められた医療費は、病院が発展するためには貴重な収入源です。一方で、貧困家庭向けには政府の公的な補助制度があるため、「貧しい人も医療を受けられる」というメッセージを政府は発信しています。

地域の人々が国の制度を知り、治療や診療費など病院の仕組みを知り、そして来院する。 日本では病気になったら病院へ行くことは当たり前ですが、カンボジアではとてもハードルが高いことなのです。その高さを、少しだけ下げることができたと信じたい一日でした。

※ 貧困層で、医療費の公的補助を受けられると認定された家庭に交付されるカード。これを病院で提示する。

写真:ラジオ放送のライブ配信映像より。右から、当プロジェクト・マネージャー佐伯、専門家の石井医師、当プロジェクト担当ラタナ、クラチェ州病院のマブ医師。後方は、クラチェ州病院の正門写真。

2019年05月13日

戻らない切れ端

戻らない切れ端

重症や緊急など、村の保健センター(診療所)レベルで治療ができないときは街中の病院へと患者さんを搬送して、より専門的な治療を受けてもらいます。

救急車がある保健センターは稀です。
病院の救急車が迎えに来てくれるのが一番ですが、そうでなければ、患者さんが自力で病院へ出向きます。
自家用バイクが主ですが、今日訪れた地域はメコン川の対岸なので、みなさん、渡し舟で川を越えて病院までやってきます。
片道だけでも、決して安くありません。

このとき、保健センターから病院への申し送りを紙にして患者さんに託します。
写真(※1)のような小さな紙片に、症状、行った処置、その時間、搬送先、などを記入します。
ちなみに、この写真の例は処置の内容や担当者のサインがなく、本来はもっと書かねばです・・・。

右端が切れていますね。
実は、同じような紙片があと2枚ついていて、それらを切り離した後なのです。

ひとつは上記の申し送り用紙。
そしてもうひとつは、送り先の病院から、送り出した保健センターへの結果報告用紙。
これら3枚綴りでオフィシャルな搬送書類となっています。(※2)

申し送り用紙は、送り先の病院でファイルされているはずなので戻りませんが、結果報告用紙は返ってきて然るべきところ。
しかし、この保健センターだけでなく、殆どの場合で戻ってきたためしがありません。

送り出した側は、その患者さんがその後どうなったのか、きちんと治療できたのか、噂が耳に届かない限り知る由がなく、治療後のフォローアップができない、ということです。

手術をした場合は退院したら全て終わり、ということはほぼありません。
傷口が感染を起こしていないか、患部の痛みはないか、など退院後の確認が必要です。
保健センターは、本来、地元の患者さんと病院とを繋ぐ役割を担うはずですが、
「その後どうなっているか、わからない」
と皆が口を揃えて言うしかないのが現状です。

きちんとした制度、ルールは既にあります。
でも、それが実践されなければ、理解されてなければ、それも機能しません。
既にあるものを上手く活用して、価値を生み出すことを考える。

病院の中でも、外でも、変わるヒントはいつも身近なところにあるのです。


※1 ここでは個人情報を伏せるため加工しています。
※2 最近、この様式が一新されました。今でも記入漏れが普通なのに、更にもっと多くの記入欄があるのです・・・。

2019年03月06日

みんなの病院トイレ 建設計画 ーキレイなトイレが「当たり前」になる日まで編ー

みんなの病院トイレ 建設計画 ーキレイなトイレが「当たり前」になる日まで編ー

トイレは誰もが必要とする場。毎日使うからこそ、安心して使いたいものですね。FIDR が活動する、カンボジア北東部のクラチェ州病院のトイレは、決してそうとは言えないものでした。詰まりが放置されて強烈な悪臭が漂う、少しでもましな個室を一つずつ開けて探す、臭いが病棟まで届くので窓を閉めると暑くて眠れない・・・。
(以前のトイレの状況はコチラで報告しています)

「水」もしかり。入院中の生活用水として使われていた貯水槽には蓋がなく、雨水、砂埃やゴミが混じり、藻が繁茂して不衛生極まりありませんでした。患者や家族は、この水を水浴び、食器洗い、歯磨き、そして哺乳瓶の洗浄にも使っていたのです。

FIDRは、医療従事者への技術研修等を通じて小児外科診療の質を高める支援をしていますが、院内環境の良し悪しも、患者の治癒や回復具合に影響すると考えました。そこで、トイレ、食器洗いや洗濯ができる洗い場、シャワー室と水回りを一新することにしました。

2月にこれらが一体化した複合型トイレが完成し、利用者の悩みが解決されました。人目に晒されながら水浴びをするしかなかった女性も、男女別のシャワー室を安心して利用できるようになりました。

ところで、完成して驚いたことは・・・なんと大半の人が男女のマークを気にせずトイレを使うのです!地方では共用トイレは一般的で、分かれていることに気づかないのですね。「当たり前」は、人や土地によってこうも異なるものです。

2019年02月28日

「カンボジア小児外科支援」プロジェクトにNGO連携無償資金協力決定

「カンボジア小児外科支援」プロジェクトにNGO連携無償資金協力決定

2019年2月25日、カンボジアのプノンペンにある日本大使館において、日本NGO連携無償資金協力の贈与契約署名式典が執り行われ、FIDRが実施する「クラチェ州における小児外科診療体制強化事業」に対し、日本政府より、米貨237,666ドル(初年次:約2,630万円)が贈与されることになりました。

この事業は、FIDRがプノンペンの国立小児病院に小児外科を立ち上げてから同病院職員がカンボジアにおける小児外科診療の指導的立場を担えるまでになった20年間の実績を活かし、医療格差の存在する地方の子どもたちも、的確な診断と治療を迅速に受けられるよう、カンボジア北東部に位置するクラチェ州をモデルとして、地方における小児外科医療の診療拠点を形成することを目標としています。
事業活動は、FIDRとともに、国立小児病院の医師や看護師たちが指導者となって実施していきます。
初年次には、様々な研修機会を提供してクラチェ州病院の外科医師や看護師の知識や技術を向上させながら、診療や治療に必要な機器材を整え、院内環境を改善していきます。また、入院患者やその保護者たちに保健教育を実施したり、村の保健センター職員を対象に研修を実施したりして、病気の予防や村人が病気になったときに医療機関を受診するよう促します。

署名式では、クラチェ州保健局長や州病院院長、FIDR職員らが見守る中、在カンボジア日本国大使館 堀之内秀久特命全権大使と本財団カンボジア事務所長の南由美子による署名交換が執り行われました。

署名式の様子が現地新聞「プノンペンポスト」に掲載されています。
こちらのリンクからご覧いただけます。
英語版
クメール語版

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