FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

プロジェクトの今 - カンボジア小児外科支援

2022年10月03日

新しい医療物品の効果で、クラチェ州病院に笑顔が増えています!

新しい医療物品の効果で、クラチェ州病院に笑顔が増えています!

クラチェ州病院外科では、このたび新たに、ストーマパウチ、ワセリンガーゼ、松葉づえ、歩行器という4つの医療物品の活用をはじめました。
いずれも当病院で初めて取り扱う物品です。今までは、これらの医療物品があることを知っている患者が自分で買って使う例がありましたが、それも、とてもまれなことでした。

ストーマパウチは、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)に装着する袋のことで、ここに排泄物をためて捨てられるようになっています。当病院では、これまで簡易的なものを手作りしていましたが、排泄物が漏れる、患者の肌へ負担がかかるなどの問題がありました。既製品のパウチを使うことにより、病気で腸や膀胱の機能が低下した人や、切除した人でも、日常生活をほとんど制限なく送ることができます。

ワセリンガーゼは、創部を湿った状態に保つためワセリンを浸み込ませてあるガーゼです。
当病院では、熱湯でやけどを負った赤ちゃんの傷口のケアに使用しはじめました。肌にくっつかないため、カーゼを交換するときに生じる痛みをやわらげてくれています。

松葉づえ・歩行器は、入院中の患者が利用しています。足を怪我した患者は、病室からトイレの移動などが楽に行えるようになりました。

これらの物品を使い始める前に注意を払ったのは、外科職員への使い方研修です。各物品の使用方法や使っていく上での注意点について、クラチェ州病院にJICA協力隊として派遣されている看護師にも協力を得て丁寧に伝えました。また、研修は繰り返し行いました。
ある日の研修では、人工肛門を付ける手術を行った患者家族が、退院後も自分たちで患者のケアができるよう、ストーマパウチの装着方法や注意点について、病院職員が実際にやって見せながら説明しました。

新たな医療物品の使用により、ケガを早く確実に治すだけでなく、痛みの軽減や感染症の予防効果もアップしました。また、患者が安定して歩行・リハビリができるようにもなり、病院スタッフや患者たちに笑顔が増えています。

なお、これらの医療物品は、岡山学芸館高校のインターアクトクラブ・英語科1・2年生の皆様からお預かりした募金により、FIDRからクラチェ州病院に寄贈しました。同校の皆様に心より感謝いたします。

2022年07月25日

病棟も患者さんの心も明るくするアートの力

病棟も患者さんの心も明るくするアートの力

FIDRは活動するクラチェ州病院で、入院生活を送る患者さんの気持ちが少しでも明るくなるよう、何かできないかと考えていました。そこで、カンボジアでアーティストとして活動しているフランス人のAlexiaさんをクラチェ州病院に招き、昨秋新しく建設した外科・産科病棟内に壁画を描く企画を考えました。

Alexiaさんは壁画のデザインから仕上げまで、すべてボランティアでかかわってくださいました。壁画デザインには、入院患者の回復への想い、日本の支援を象徴する日の丸、病院スタッフと日本の協力など、さまざまな要素が取り入れられました。壁画を描く3日間の作業には、病院スタッフや入院している子どもたちも参加。患者の休憩スペースと小児病室の壁に素敵なアートが出来上がりました。

子どもたちや病院スタッフの楽しそうな顔や、新しくも少々殺風景だった病室がすっかり華やかになったのを見て、人の心も空間も彩り明るくしてくれる、アートの力を改めて感じました。

Alexiaさんは、この3日間を振り返ってこのように語ってくれました。
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このアートに込めた私の想いは、入院している患者さんとその家族が、快適に過ごせる空間を提供すること。そして、見る人によって自分だけの物語を想像してもらえるようなデザインにすること。そこで、クメール語の「早く元気になりますように」、「あなたの回復を願っています」というメッセージを中心に構成を考えました。また、患者さんたちが自分たちにとって癒しの言葉を書くためのスペースも設けました。

この3日間、やることがたくさんありました。まず、壁をきれいにして、床が汚れないようにカバーをかけてから、作業開始!描く壁画のデザインを下書きして、それに沿って壁に色を塗って、ブラシを洗って、また新しい色を塗って、、という作業を繰り返しながら、完成させました。

カンボジアで最も暑い時期にこのアートプロジェクトを行いましたが、ありがたいことに、多くの病院スタッフ、患者さんとその家族や、子どもたちが協力してくれました。作業している間に偶然前を通った人も、立ち止まって、一緒に手伝ってくれました。アートショーを楽しむように、幸せそうに見てくれる患者さんもいました。

参加したみんなは、この作品の一部になりたくて、喜んで私がお願いしたように描いてくれました。実際、ブラシを手に持ったことがない人がほとんどです。私はいまも、若い看護師さんが、初めて壁に明るい紫色のブラシをかけた瞬間の輝いた表情を覚えています。

壁画を描いている間、心に残っているエピソードがあります。一日中壁と向かい合って作業していた私は、病室で療養していた2人の若い女の子と、目を合わす瞬間が沢山ありました。彼女たちは交通事故で入院していましたが、退院の時に、わざわざ私に「ありがとう」と言いに来てくれました。お互い言葉はあまり通じなくとも、彼女たちの元気な笑顔がすべてを語ってくれていました。

このように、大変な状況に置かれている患者さんとその家族がいる場所で、アートを通して幸せな思い出や気持ちを共有できることが、お互いの癒しにも、刺激にもなると強く感じました。これは私がカンボジアを離れる前の最後のプロジェクトで、最高の思い出となりました。クラチェ州のみなさん、ありがとう!

2022年06月22日

病院スタッフの新しいチャレンジ~新病棟の大清掃~

病院スタッフの新しいチャレンジ~新病棟の大清掃~

昨年12月に完成したクラチェ州病院の新外科・産科病棟。

運用を開始して1ヶ月が経った頃、床が汚れていたり、病室が掃除されていなかったり、クモの巣が張っていたりなど、衛生面での問題が発生していました。

外科病棟では2名の清掃スタッフがいますが、病棟が広く、入院患者の入れ替わりが激しいために日々の掃除が追いついておらず、FIDRはこの状況を改善しようと病院に働きかけてきました。すると、状況を見た院長が、外科スタッフ全員を集めて話し合いを行い、「医師、看護師みんなで掃除しよう!」と、病院をあげて定期的に大掃除を始めることになりました。

早速1回目の大掃除の日、病棟内をくまなく清掃するため、全ての医師、看護師、清掃スタッフが参加しました。医師や看護師たちが清掃しているのを見た患者さんやその家族も、自分たちの病床周りの掃除を始めました。

外科スタッフからは「自分たちの病棟を掃除するのは楽しいです」「今までスタッフ全員で一緒に何かするという機会がありませんでした。この清掃活動を通じてスタッフ間のコミュニケーションを深めることもできて、本当に良かったです」 と嬉しい声を聞くこともできました。

それ以来、外科病棟では、病棟内を清潔に保ち、患者さんが快適な環境で過ごせるよう、毎月スタッフ全員による清掃活動を行っています。病棟がきれいになり、患者さんやスタッフもとても喜んでいます。最近、院内の他の科にもこの清掃活動を広めて、病院全体を常に清潔に保つよう勧めています。今後もスタッフにより継続され、患者さんにとって快適で衛生的な環境が保たれることを願っています。

2022年01月27日

NGO連携無償資金協力採択にあたり署名式が行われました

NGO連携無償資金協力採択にあたり署名式が行われました

2022年1月19日、在カンボジア日本国大使館にて日本NGO連携無償資金協力の贈与契約署名式典が執り行われ、FIDRが実施する「クラチェ州における小児外科診療体制強化事業」に対し、日本政府より、米貨125,012ドル(3年次:約1,350万円)が贈与されることになりました。

この事業は、医療格差の大きい地方の子どもたちが適切な診断と治療を迅速に受けられるよう、北東部クラチェ州をモデル地域として、地方における小児外科医療の診療拠点を形成することを目標に2019年より同資金協力を受けて実施しており、今年度が3年目の採択となります。

初年次は、クラチェ州病院の外科医師や看護師に小児外科疾患の症例や治療法に関する研修を行うとともに、手術に必要な医療器材を整備しました。続く2年次は、外科・産科病棟を建設し、初年次と2年次を通してソフトとハード両面で適切な治療環境を整備してきました。

来月から始まる3年次には、クラチェ州病院の医師や看護師がよりよい医療サービスを提供するための研修を実施するとともに、住民にとって一番身近な医療機関である保健センターでも小児外科患者に対して適切な診断が行われ、必要な場合にはクラチェ州病院へスムーズに搬送されるよう研修を実施していく予定です。

署名式では、在カンボジア日本国大使館 三上正裕特命全権大使とFIDRカンボジア事務所長の佐伯風土による署名交換が執り行われました。外科病棟の建設や医療従事者の育成といったFIDRの今までの活動が芽を咲かせ、クラチェ州病院が患者一人一人と向き合う医療を届けられるモデル病院となるよう努めてまいります。

署名式の様子が現地新聞に掲載されています。
下記のリンクからご覧いただけます。

「クメールタイムズ」
https://www.khmertimeskh.com/501010143/japan-provides-728501-for-medical-care-and-reducing-child-mortality/
https://www.khmertimeskh.com/501009930/three-projects-receive-funds-of-over-700000-in-grants-from-japan/
「プノンペンポスト」
https://www.phnompenhpost.com/national/japan-funds-three-projects-children

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